電力需給逼迫(ひっぱく)警報を受け、電力消費が大きい製造業などを中心に各企業は22日、節電を本格化した。大規模な発電設備を持つ日本製鉄などは、東電などへの電力融通を増やし供給量の下支えを行うなど対応に追われた。
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日産自動車は栃木工場(栃木県上三川町)で自家発電設備などを利用した節電態勢に入った。東電からは18日に節電の協力要請があったという。同工場では、アルミなどを高温で溶かして部品を成形する工程で電力使用量が多いという。
大企業は電力不足が懸念される場合、電気料金の割引を受ける代わりに、電力使用の一部を抑制する契約を結んでいることも多い。経団連の十倉雅和会長も「東電管区の企業に10%の節電をすぐに呼びかけた」と明らかにした。
日鉄は東日本製鉄所の鹿島地区(茨城県鹿嶋市)と君津地区(千葉県君津市)に大規模な発電設備を持っており、火力発電所の出力を最大限に引き上げ「東電からの増出力要請に応じている」と説明。火力発電所は東電と共同運営しており、製鉄の過程で発生するガスを使って発電するため、出力向上による鉄鋼生産への影響はないという。
JFEスチールも「保有する発電設備を最大限に稼働させるなど、可能な限りの増発電を行う」という。日本製紙も、関東工場(埼玉県草加市)と富士工場(静岡県富士市)の自家発電設備をフル稼働させた。
製造業以外でも、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は関東を中心に傘下のスーパー、イトーヨーカドーの98店舗で照明の照度を10%落とし、空調を通常の22度から20度に変更。売り場の販促動画も切るなどして電力消費を抑えた。コンビニエンスストアのセブン―イレブン8500店舗に対しても空調を20度に抑え、可能な範囲で看板の消灯などを要請した。東北地方の店舗でも順次、同様の対応を進めるという。すかいらーくHDは関東と東北を中心に約2千店舗の看板を消灯。三菱UFJ銀行も職場に照明や空調の節電徹底を指示した。(蕎麦谷里志、加藤園子、井田通人)