• 日経平均27001.52262.49
  • ドル円127.55127.58

幸福度の高い国づくり スマートシティ系ベンチャーが命運を握る


デロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)です。当社はベンチャー企業の支援を中心に事業を展開しており、木曜日の朝7時から「MorningPitch(モーニングピッチ)」というイベントを東京・大手町で開催しています。毎週5社のベンチャーが大企業の新規事業担当者や投資家らを前にプレゼンテーションを行うことで、イノベーションの創出につなげることを狙いとしています。

モーニングピッチでは毎回テーマを設定しており、それに沿ったベンチャーが登場します。ピッチで取り上げたテーマと登壇ベンチャーを紹介し、日本のイノベーションに資する情報を発信する本連載。今回はスマートシティです。


全世界の市場規模は1500億ドル

スマートシティは、ICT(情報通信技術)や官民データの活用による市民に寄り添ったサービスの提供に加え、都市計画や整備、管理・運営の高度化によって都市や地域が抱える諸課題の解決を行い、新たな価値を創出し続けることと定義されています。新たな価値とは


(1)安全で質の高い市民生活・都市活動

(2)持続的かつ創造的な都市経営・都市経済

(3)環境負荷の低い都市・地域


の実現です。

2022年のスマートシティの市場規模は、全世界で約1,500億ドル(約18兆円)と推定されています。新たな電力供給システムであるスマートグリッドが牽引し、2018年から年平均で18.2%の伸びを示しています。今後は現実世界を仮想空間で再現するデジタルツインや、警官向けウェアラブル端末などの分野が成長すると予想しています。

日本の市場規模は約1兆円と推定しています。18年からの平均成長率は世界の平均を3ポイント上回る21.2%です。関連IT支出額の上位項目は高度化した公共交通誘導、インテリジェント交通管制、環境監視、固定監視画像データ解析、スマート街灯の5つとみられています。スマートシティの実装で必要となる認証技術や通信技術などは、日本が優位性を誇るため、国際競争力の維持・向上の観点からもさらに注目を集めることになるでしょう。


日本の都市ランキングは低迷


国際経営開発研究所(IMD)などによる世界のスマートシティランキングによると、2019~21年にかけて3年連続でトップとなったのがシンガポールです。21年は2位がスイスのチューリッヒ、3位はノルウェー・オスロでした。日本勢はというと東京が84位で大阪が86位。残念ながら年を追うごとに順位を下げています。

このランキングと国連が発表する幸福度ランキングを組み合わせると、スマートシティランキングが高い国ほど幸福度が高いことがわかります。

日本が幸福度の高い国を目指すには、「ICT等のスマート技術を積極的に導入している都市・地域」と手段を目的にするのではなく、「各都市・地域における課題をスマートに解決している都市・地域」と、スマートシティの認識を改めることが重要と考えています。2021年9月に発足したデジタル庁も後押ししようとしています。デジタル活用を手段に一人一人がニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指しているからです。


発展には住民の心の豊かさなどが不可欠

また、スマートシティの発展には3つの要素が必要となります。そのひとつが住民の心の豊かさで、事故や犯罪がない安心感や災害対策への充実度、健康と生きがいのある生活などが支えとなっています。もうひとつは観光客が訪れ続ける活気ある街づくりや最適化された行政サービスを具現化した都市機能の高度化です。住民の幸せと高度化された都市機能を持続的に維持するために不可欠な要素が都市・地域の持続性です。最適化されたエネルギー網や維持管理コストが安いインフラなどが、持続性のためのカギとなります。

しかし残念ながら、発展に向けた課題はまだまだ山積しています。住民と自治体が円滑にコミュニケーションできるプラットフォームや仕組みが不十分であり、収集・蓄積したビッグデータを高度に解析・分析する機能・基盤も不足しているからです。また、地域内の交通量や電力消費量といったセンシングデータや、個人情報などパーソナルデータを安全に収集・蓄積できる基盤の整備も十分ではありません。


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)