ロシア軍のウクライナ全面侵攻から24日で1カ月となる。ウクライナに事業所を置く関西の企業は、現地スタッフの安全確認を第一に進める。中には必要な物資をウクライナ国民に届けようと模索を続ける企業もある。
衛生用品メーカー、サラヤ(大阪市東住吉区)はウクライナの首都キエフに営業拠点を置く。現地勤務の日本人社員はいないが、現地採用の社員9人の無事を確認している。
ロシアによるウクライナ侵攻後、国外に出られない男性社員5人は国内でも被害の少ないとされる地域に避難、社長を含む女性4人はポーランドに出国した。同社のポーランドの営業拠点と連携しながら、リモートでウクライナ国内での衛生用品や洗剤などの製造・販売を継続できないか模索している。キエフには物流倉庫もあるが、戦火を避けるため国内の西側に倉庫を移そうとしているという。
サラヤ海外事業本部の担当者は「現地からの情報では、ロシア軍はキエフを包囲したまま進軍は止まっていると聞いている。社員の無事を祈りつつ、現状を注視している」と話す。
編み機メーカー大手、島精機製作所(和歌山市)は、ウクライナ第2の都市ハリコフに1990年代からの販売代理店を持つ。日本人従業員はいないが、現地スタッフとはウクライナ侵攻が始まった2月下旬以降、定期的に連絡を取ってきた。担当者は「スタッフに被害はないが、『顧客がどこに避難しているのかも分からない』と話しており、事業継続は難しい状態だ」とする。また、激しい攻撃にさらされているハリコフの店舗については「スタッフも避難しているため、現在の店舗の状況が確認できていない」という。
ウクライナで現地の人を通じて菓子を販売するモチクリームジャパン(神戸市中央区)の担当者は「現地とメールで連絡は取っている。地下に隠れているのかどこに避難しているのか全く分からないが、頑張っていると思う」と説明。現地での事業については「船を港につけることもできず、この状況ではできない」と語った。