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文氏支持率4割超で政権交代の謎…支持層だけ考慮し社会分断

【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5月の退任を前に4割を超える支持率を維持している。9日の大統領選では、保守系最大野党候補に革新系の文政権の与党候補が敗れた。選挙で国民の半数に「ノー」を突き付けられながら、歴代で例のない高支持率を保つ背景には何があるのか。

世論調査会社、韓国ギャラップが18日に発表した調査結果によると、文氏の支持率は42%で、不支持率は52%だった。選挙前の4日発表の結果では、45%の支持率を記録。歴代大統領と比べて圧倒的に高い。

1987年の民主化後、初の文民大統領となった金泳三(キム・ヨンサム)氏は任期終盤に6%まで下落。文氏の前任の朴槿恵(パク・クネ)氏は弾劾直前の支持率は5%に過ぎなかった。文氏の盟友の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は終始、支持率の低迷にあえぎ、最終盤は27%。民主化以降、最終盤に30%を超えた大統領はいなかった。

文氏の場合、前任の朴氏が国民のデモで権力の座を追われたことを受けて当選しただけに、2017年の就任当初は81%と高い支持率で出発し、最低でも35%を下回らなかった。

18日発表の結果で、支持理由として最も多かったのが「外交・国際関係」(19%)で、「新型コロナウイルス対応」(15%)が続いた。だが、文氏が最も力を入れた北朝鮮融和政策は19年以降、南北の対話さえ停滞。親中国路線も維持したが、中韓関係に顕著な進展はなかった。コロナ対応では当初、国際社会から評価されたものの、最近は新規感染者数が世界最悪となるなど半ば挫折しており、支持理由が現実を反映しているとはいいがたい。

文氏の支持率が急落しなかった理由として、韓国メディアは本人や家族の大型スキャンダルがなかった点を挙げる。また、支持層の意向に逆らってまで実現させた〝成果〟がなかったことも指摘される。盟友の盧氏は支持層の反発を押し切ってイラク派兵や米国との自由貿易協定(FTA)妥結を進めた。

象徴的なのは、文氏が日本との関係悪化を放置してきたことだ。場合によって日本への譲歩も必要な対日外交の推進は支持層受けが期待できない。19年に日本が対韓輸出管理を厳格化すると、文氏は強硬姿勢を鮮明にし、逆に「反日」を支持層の結集に利用した。

専門家は「4割の支持層だけを見つめ、社会の分断を残した」と分析する。支持層だけに配慮し、旧保守政権の糾弾を進めた半面、国民の不満が多い住宅価格の高騰問題では効果的な手を打てず、過半数の不支持者から政権交代を迫られた形だ。深刻な社会の分断の解消は次期政権に持ち越されることになる。


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