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田辺三菱の植物由来ワクチン、WHO承認拒否へ タバコ大手出資で

田辺三菱製薬のカナダの子会社メディカゴが開発し、すでにカナダでの承認を得ている新型コロナウイルスワクチンが、世界保健機関(WHO)の緊急使用承認を受けられない可能性が出ている。米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルが出資しているため、たばこ産業に厳しい対応を取るWHOの方針に抵触するという。ワクチンの公平な分配を目指す国際的枠組み「COVAX(コバックス)」から除外され、需要が抑制されるリスクも出てきた。

田辺三菱製薬はカナダの子会社メディカゴで植物由来のワクチンを開発している=カナダ・ケベック市
田辺三菱製薬はカナダの子会社メディカゴで植物由来のワクチンを開発している=カナダ・ケベック市

メディカゴは、WHOの緊急承認のために必要な事前承認を求めて申請しているが、WHOは3月2日に受理しないことを公表していた。さらに16日、WHOは「緊急使用承認を受けられない可能性が非常に高い」と明かした。理由について「WHOがたばこや武器の産業に非常に厳しい方針を取っているからだ」とし、フィリップ・モリスがメディカゴに出資しているため緊急使用の承認審査を停止しているとした。

メディカゴが開発するワクチンは、世界初の植物由来タイプ。生育の早いタバコ属の葉に遺伝子情報を含む液体を染み込ませ、葉を育てる過程でワクチンのもとを培養する。

田辺三菱は2013年にメディカゴを買収、子会社化した。一方、フィリップ・モリスは約21%の株式を保有している。田辺三菱は「WHOからの公式な連絡はない」とし、WHOの動向はワクチンの安全性や有効性とは無関係で、すでに承認を得ているカナダや、今夏に予定している日本での承認申請への影響はないとしている。

医薬品の審査に詳しい大阪大の山岸義晃特任准教授も「WHOの決定が、日本や米国、カナダなど自国で薬事審査できる先進国の審査に影響することはほとんどない」と話す。一方で、「WHOの承認は途上国や国連児童基金(ユニセフ)などの国際機関にお墨付きを与える役割があり、影響力は大きい」とする。ユニセフが主導的な立場で進める、ワクチンを共同購入し途上国などに分配するCOVAXからの除外のリスクも出てくる。

また、メディカゴのワクチンは新型コロナのデルタ株に対して75%の発症予防効果が確認されているものの、すでに90%以上の有効性を示す米ファイザー、米モデルナの各社製が流通している先進国では「選ばれにくいのではないか」とも指摘。「途上国へのお墨付きが与えられないことで、COVAXからも除外されれば、世界でどれだけ使われることになるか未知数だ」と話している。(安田奈緒美、井上浩平)


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