太平洋戦争直後は、日本経済復興のために、政府がさまざまな介入を行い産業界を支援、鼓舞してきた。それは、時代として必然だったし、世界が驚愕した「奇跡の戦後復興」を成し遂げたという結果を見れば、意味のある支援だったと言えよう。
岸田政権の経済安保政策の本質は「謎」
その後も折に触れ、日本経済をてこ入れしてきた。たとえば、半導体産業で世界を席巻すべく大胆な指導を行い、見事、半導体業界で世界を制覇している。だが、本来の企業の状態を嵩上げして虚構をつくるような愚行は、かつて私が「情けない」と思ったPKO程度で、それも、バブル崩壊後の緩やかな安定とともに行われなくなっていた。
それが、今や常態化している。もはや、誰も「異常だ」とも「即刻やめよ!」とも言わない。それどころか、「コロナ禍で大変なんだから、継続するのが当然」と考えている人も多いようだ。さらに、ウクライナ情勢がじわじわと国際経済に影響を及ぼし、「まだまだやめられない」となりそうだ。
9年前から続いている政策を、今更あえて話題にしたのは、3月という年度末を迎えて、そういえばそんな時代があったと思い出したからだ。そして、当時の状況を踏まえたうえで現状を見ると、日本企業は輝きを失い、依存体質ばかりが進んでいるのが気になった。
岸田文雄政権は経済安保政策を掲げているが、その本質は謎のままだという指摘を目にする。
経済安保を叫ぶなら、まず、産業界の自覚を強く喚起し、自ら生き残る気力のない企業には、「店じまい」を促すぐらいの気概を見せて欲しい。