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ビジネスパーソンに保護犬との出会いを 「犬材派遣会社」を立ち上げた獣医の思い

繰り返される悪循環

この取り組みの背景には、保護犬を取り巻く現状を変えたいという寺田さんの強い思いがある。

環境省の集計によると、2020年度の保健所の引き取り件数は約7万2000件。この結果、2万4000匹ほどの犬猫が保健所で殺処分された。殺処分は行政と保護団体による返還と譲渡といった積極的な活動によって年々減少傾向にあるが、寺田さんによると、いまだに過剰繁殖を繰り返すブリーダーや、飼い主が安易に飼育放棄するケースも後を絶たないという。

全国の犬・猫の引取り数と殺処分の割合の推移(出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」より)
全国の犬・猫の引取り数と殺処分の割合の推移(出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」より)

動物が命を終えるまで適切に飼育する責任を定めた改正動物愛護管理法が2013年に施行され、保健所が飼い主から動物の引き取りを拒否できるようになったことに伴い、保健所に代わって動物を引き取って殺処分する「引き取り屋」という闇事業者の存在も指摘され続けている。

保護犬とは、こうした殺処分を免れ、新しい居場所を探している犬たちのこと。しかし保護に至る犬は、寺田さん曰く、殺処分の対象となる犬全体の「一握り」にすぎない。殺処分を逃れたとしても、最近は住宅事情やライフスタイルの変化から飼育に対するハードルが高まっており、特に中・大型犬やシニア犬では譲渡先が生涯見つからないことも少なくないという。

現在は保健所や保護団体が一時的に受け入れ、譲渡先を探すことで保護動物たちの命を繋いでいるが、保護活動の継続にはスペースや人手、そして多くの資金が必要だ。自治体が活用できるリソースには限界があり、寄付やボランティアに頼らざるを得ない保護団体の運営も容易ではない。

さらに動物の生育環境の改善のためにブリーダーやペットショップに対して導入された飼育数や管理方法などに関する規制が、今後は保護団体にも適用される見込みで、寺田さんは「行き場を失う動物たちがさらに増加することが予想される」と険しい表情を浮かべる。


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