【カイロ=佐藤貴生】ブリンケン米国務長官は27日、イスラエルを訪れてベネット首相と会談する。28日までの滞在で、イラン核合意の再建に向けた同国と米国の間接協議について話し合う。ベネット氏はロシアのウクライナ侵攻を受けて両国の停戦を仲介しており、侵攻に関する問題も議題になる見通しだ。
ブリンケン氏は滞在中、ガンツ副首相兼国防相やラピド外相らとも会談。イスラエルはイランの核保有を警戒して米イランの間接協議に否定的な姿勢を取っており、ブリンケン氏は同協議の経過を説明して理解を求めるとみられる。
米イランの間接協議は妥結間近ともいわれるが、イランは最高指導者直属の革命防衛隊に米国が科した制裁の解除と、「二度と核合意から離脱しない」との保証を米国に求めており、これらの点で歩み寄れるかが焦点となっている。
露のウクライナ侵攻で原油価格が急騰したため、バイデン米政権は核合意再建でイランに科した原油の禁輸制裁を解除し、市場の安定を図る方針とされる。
また、イスラエルでは27~28日、ブリンケン氏やラピド氏のほかアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、エジプトの外相が会議を開き、6カ国の協力態勢を話し合う。
イスラエルは1979年にエジプトと平和条約を結んで国交を樹立し、2020年にはトランプ前米政権の支援を受けてUAEやバーレーン、モロッコなどと国交正常化で合意した。イスラエル外務省は「歴史的な会議」になるとしており、中東のアラブ諸国との関係進展をアピールする。
ブリンケン氏は27日、ヨルダン川西岸のラマラでパレスチナ自治政府のアッバス議長とも会談。バイデン政権はパレスチナ独立国家建設によるイスラエルとの「2国家共存」案を支持しており、協力関係を確認する。ブリンケン氏はイスラエルに続きモロッコとアルジェリアを訪問する。