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40〜50代の転職に失敗する人が、ことごとく勘違いする「たった1つのポイント」とは

PRESIDENT Online

「どこにいたか」より「何をしてきたか」

さて、ここからが、ミドルエイジ会社員たちの心の動きが垣間見える結果だ。

「転職先にアピールした点」を尋ねたところ、もっとも多かったのは「これまでの業務実績」で、年齢が高いほどその傾向が強く、45歳以上では75%超。「専門的な知識やスキル」「資格を持っていること」が続いた。「前職の勤務先名」を挙げた人は、30代では5%だったのに対し、40歳以上では10%を超え、50代は13.8%ともっとも多かった。

では、採用側はそれをどう評価したか?

参考になるのが、転職者に「採用選考でもっとも評価されたと思う点」を挙げてもらった回答である。

なんと、40代後半から50代の人の半数近くが「これまでの業務実績」を挙げ、「資格」(50代4.6%)、「専門的なスキル」(50代12.2%)を大きく上回っていた。

自己アピールをする際に、40歳以上では実に10人に1人以上が、「前職の勤務先名」をアピールしていたのに対し、「採用選考で評価された」としたのは、50代ではたった1.3%しかいなかった。つまり、「どこにいたか?」ではなく、「何をしてきたか?」が評価されていたのだ。

むろん、前職が有名な大企業であるほど「使いづらい」「肩たたきに遭っているんじゃないか」と、否定的に捉えられる可能性はあるだろう。

資格や専門的なスキルは、いわば「足の裏の米粒」のようなもの。取らなきゃ気になるけど、取ったからといって腹を満たすものではない。「今までの働きぶり」が次につながっていくのであり、キャリアは連鎖しているのだ。「今、この瞬間」にどれだけ正しい行いをするかで、10年後、いや、20年後が決まるのである。

会社を捨てても、経験は残る

もちろん、転職すればいいというものではない。しかし、何かを失うことなしに前に進むことはできない。

会社を捨てても、「私」の財産=暗黙知は残り続ける。地面を踏み締めた感覚、這いつくばった経験は、新しい環境で生かすことができる。失う、という苦い経験も、数年後には財産になる。

まだ50歳だ。「五十や六十で迷ったりしちゃいけない」のだ。70歳まで働いたとして、あと20年もある。50歳に至るまでの20年という時間を振り返れば、それがいかに長く、いかに賑やかで、いかに成長のために貴重な時間だったかを思い出せるはずだ。

その大切な時間を、「選択肢がないから離れない」と考えるのは、自分の心の自由まで会社に捧げることに等しい。つまるところ、「プランB」を持てないことが、会社員の最大の問題といえる。彼らは自分の存在意義を、会社という顔の見えない組織に埋没させている。それが最大の問題であることに、当人たちは気づいていない。(健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士 河合 薫)


河合 薫(かわい・かおる) 健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D.)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。著書に『残念な職場』(PHP新書)、『他人の足を引っぱる男たち』『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』(プレジデント社)などがある。



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