そんな2011年組は今なお意気軒昂だが、創業当初のロケットスタートを支えたメニューから歩をさらに進め、運動体として進み続ける。『ソラノイロ』はヴィーガン仕様のラーメン、グルテンフリーラーメンを投入するなど、一歩先を行くメニューを常に提案。SNS時代への一石として「携帯電話禁止」「撮影禁止」を掲げた実験店をオープンしたこともある。
『饗くろ㐂』は旬と各地域の食材を盛り込んだ限定ラーメンを随時発表。ラーメンで春夏秋冬を表現する匠のフェーズに入った。『マタドール』は、まぜそば『闘牛脂』、東京発の新御当地味噌、ラグジュアリーな塩ラーメンを開発するなど、イノベーションを止めようとしない。
野菜の鮮やかな色味、旨みを持ち込んだ『ソラノイロ』、スープの濃度と大胆なスパイス使いを提案した『饗くろ㐂』、定番化していたチャーシューを再構築し、スープとも合わせてコンセプトメイクした『マタドール』。
いずれも、灯が消えてモノクロームの世界に突入したニッポン経済、そして首都圏ラーメンを鮮やかに照らし出した。10年という一つの節目を越えたが、志ある厨房が放ったヴィヴィッドな衝撃波は今なおシーンに響き渡っている。