賃上げ税制、理解進まず 中小で「詳細知らない」9割超える

    4月1日から適用される賃上げ促進税制に対する理解が、中小企業の間で進んでいないことが分かった。雇用者の給与増に対し法人税から差し引く控除率を最大40%に引き上げる首相肝いりの賃上げ税制だが、利用の意向は約8%にとどまっている。

    中小企業で賃上げ税制の理解進まず(Getty Images)※画像はイメージです
    中小企業で賃上げ税制の理解進まず(Getty Images)※画像はイメージです

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    会計ソフトなどを提供するフリーウェイジャパンが行ったアンケートよると、中小企業・零細企業の経営者と従業員の合計599人のうち賃上げ促進税制を「詳細まで知っている」が7.2%、「詳細は知らないが制度自体は知っている」が50.7%、「知らない」が42.1%だった。知っている人は過半数に達したが、内実まで理解しているのは1割未満ということになる。

    賃上げ税制では、雇用者全体の給与が前年度比で2.5%以上増えた場合に増加額の30%が控除され、教育訓練費が前年度比で10%増えていると控除率が10%上乗せされる。中小企業庁はパンフレットで、従来の最大値である25%と比較して「かつてない高い税額控除率」と強調している。また、大企業でも控除率が最大30%に引き上げられる。

    しかし、赤字経営の中小企業は法人税を納める必要がないため、賃上げをしても恩恵を受けられない。そのため政府は、赤字でも賃上げに取り組んだ中小企業向けに特別枠を設けて、設備投資の補助率を2分の1から3分の2にするなどして二段構えで支援する方針だが、浸透していないようだ。

    同社が賃上げ税制を「詳細まで知っている」「詳細は知らないが制度自体は知っている」とした347人に制度を活用するかと聞いたところ「わからない」が49.9%を占め、「活用する」は8.4%、「活用しない」が41.7%だった。

    活用しない理由は「効果が期待できない」が最多で、賃上げによる業績悪化の懸念や、コロナ禍による業績悪化から立ち直れていないことを挙げる企業も少なくなかった。また賃上げ自体ついては、基本給を一度上げれば下げられなくなるなどと一定数の企業が今後を見通して慎重な姿勢をとっていた。

    アンケート調査は2月22日~3月3日、インターネットで行われた。回答者の内訳は中小企業・零細企業の従業員が378人、代表取締役が221人だった。


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