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春闘「満額回答」相次ぐ 賃上げの流れつなげられるか

令和4年春闘は、企業側から高水準の回答が目立つ。大手製造業を中心とした好調な業績に加え、政権が賃上げを求めたことも背景にありそうだ。ただ、足元では物価上昇が家計を圧迫している。ロシアによるウクライナ侵攻の深刻化も懸念材料となる中、賃金アップが物価上昇に追い付かなければ、個人消費の停滞から脱却できない。賃上げの流れを、これから本格化する大手以外にも広げていかなければならない。

令和4年春闘の集中回答日で、各社の回答をボードに書き込む金属労協の担当者=3月16日午前、東京都中央区 (代表撮影)
令和4年春闘の集中回答日で、各社の回答をボードに書き込む金属労協の担当者=3月16日午前、東京都中央区 (代表撮影)

自動車大手ではトヨタ自動車が3月9日に満額回答し、異例の早さで妥結。電機大手では日立製作所と東芝、NECが月3千円で満額回答した。製造業の中には要求額を上回る賃上げで妥結した企業もある。新型コロナウイルス禍で昨年の賃上げ率は8年ぶりに2%を下回る1・86%(厚生労働省集計)だったが、今年は2%を超える見通しだ。

とはいえ、景気が良くなったという実感に乏しい。物価上昇に歯止めがかかる雰囲気はないからだ。昨年から原油価格は高騰し、電気・ガス料金は上昇が続く。ガソリン代も政府の介入むなしく高止まりしている。食料品や日用品は生産、物流コストの増加で値上げに踏み切る企業が相次ぐ。出口の見えないウクライナ情勢によって、世界的なエネルギー価格の高騰はさらに長引く恐れもある。

物価上昇が続けば、賃金が増えても、消費に回るとは期待できない。ましてや、組合への「満額回答」は、日本で働く人の7割近くが勤める中小企業には縁遠い。ある経営者は「従業員の頑張りに応えてあげたいが…」としつつ、ベースアップを見送り、一時金の支給か賞与の増額で手当てする考えという。要は将来の見通しが立たないから、固定費の増加は避けたいようだ。実際、日本の平均年収は、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均より低い35カ国中22位。先進国の中で低水準にとどまるだけでなく、この30年でほとんど伸びていない。

賃金を伸ばすには「生産性向上」が欠かせないが、日本の労働生産性も主要7カ国の中で最低だ。政府資料によると、「人材への投資」は先進国の中で低い水準で、低下傾向にあるという。企業は稼ぐ力を高めるために人材への投資が急務となっている。

賃金増が期待できないなら、どうやって人材をつなぎとめるのか。「歯を食いしばって頑張ろう」と呼びかけるだけが経営者の役割ではないはずだ。(岡本祐大)


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