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停戦交渉で東部の扱い焦点 露、2州の全域狙う

ロシアとウクライナの停戦交渉では、露軍が新たに攻撃の重点を置くウクライナ東部の扱いが焦点の一つとなる。首都キーウ(キエフ)の攻略やゼレンスキー政権の転覆といった所期の開戦目的を達成できていないロシアは、東部の支配領域を拡大し、ロシアへの事実上の併合をウクライナにのませたい考えだ。ウクライナは、ロシアが停戦交渉を時間稼ぎに使うとみて東部での攻勢に警戒を強めている。

28日、ウクライナ・マリウポリへ向かう道路上に展開する親ロシア派武装勢力の部隊(ロイター)
28日、ウクライナ・マリウポリへ向かう道路上に展開する親ロシア派武装勢力の部隊(ロイター)

プーチン露政権は、東部ドネツク、ルガンスク両州の「住民保護」を開戦目的の一つとしてきた。2014年からのウクライナ東部紛争で、ウクライナ軍が親露派支配地域に「ジェノサイド(集団殺害)を働いてきた」との主張に基づいている。キーウ攻略に目途が立たない中、プーチン政権が東部支配の確立を「最低限の戦果」として重視していることは疑いない。

ウクライナは3月29日にトルコで行われた停戦交渉で、国連安全保障理事会の常任理事国などがウクライナの安全を保証する国際的枠組みづくりを提案。これに絡み、南部クリミア半島や「東部の特定地域」には当面、枠組みを適用しない考えを示したとされる。露交渉団を率いるメジンスキー大統領補佐官は、「東部の特定地域」が指す範囲は不明だとの認識を示した。

ゼレンスキー大統領は29日の交渉に先立ち、東部を念頭に「2月24日の開戦前の状況に露軍が戻ること」を呼びかけた。東部2州のうち親露派武装勢力が開戦前から実効支配していた領域については、一時的に主権問題を棚上げする用意があるとみられている。

対するロシアは、激しい包囲戦が続いている要衝マリウポリを含め、東部2州の全域掌握を目指している。プーチン大統領は3月4日、ドイツのショルツ首相との電話会談で2州の「全域」について主権承認を求めると明言した。30日にはイタリアのドラギ首相との電話会談で「停戦に向けた条件はまだ整っていない」と述べている。

東部2州でのロシア側の支配領域は、ルガンスク州で9割を超えたが、ドネツク州では55~60%にとどまっている。ドネツク州の親露派武装勢力の幹部は「作戦を加速させる」としている。両州の親露派幹部は、ロシアへの「編入」を求める住民投票を検討していることも明らかにした。

ロシアは当初、ウクライナの「非軍事化」や政権転覆を意味する「非ナチス化」も開戦目的に掲げた。しかし、キーウ方面での作戦は遅滞し、露軍は3月末にキーウなど北部での軍事活動を「大幅に削減する」と発表した。米国防総省は、キーウ周辺の部隊の一部が「再配置」を進めているとの分析を示した。(黒川信雄)


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