警察庁に1日、サイバー警察局、サイバー特別捜査隊が発足した。中村格(いたる)長官は発足式で、ランサムウエア被害の拡大や国家を背景にしたサイバー攻撃があると指摘。「国民が安心して社会経済活動を営むことができるかは、各位の双肩にかかっていると言っても過言ではない」として捜査員らの奮起を促した。
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立ち上げの背景には国際連携の必要性がある。欧米では国家警察組織がサイバー捜査を管轄するのが主流で各国の連携も進む。昨年1月には欧州刑事警察機構(ユーロポール)が世界で最も危険なウイルスとされる「エモテット」を拡散させているネットワークを制圧。欧米8カ国が情報共有する中で国家捜査機関を有しない日本は「かやの外」だった。
こうした状態の改善が予想される。サイバー攻撃に詳しい大阪大の猪俣敦夫教授は「海外のハッカーを取り締まるのであれば絶対に国際協力体制は必須になる」と期待する。
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課題も残る。米の大手石油パイプラインが攻撃を受けハッカー集団に身代金が渡った事案では、米連邦捜査局(FBI)が、約半額の回収に成功。猪俣教授はハッカーに何らかのプログラムを送るといった「おとり捜査」を行ったとみている。ただ、こうした手法は日本では「法律上絶対にできない」(猪俣教授)。また、高度化する手口の中で人材育成や専門家らとの連携も必要になるとされる。