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米欧、ウクライナ安保枠組みに慎重 NATO並み防衛義務にリスクも

ウクライナがロシアとの停戦交渉で提案した「中立化」の前提となる新たな多国間安全保障枠組みについて、米国や欧州の主要国は態度を明確にしていない。ウクライナ案の柱は、同国の安全に責任を負う「保証国」として米欧などに関与を求めるもの。将来的にロシアとウクライナの対立が再燃すれば、米欧が紛争当事者となる危険性も排除できず、現状での受け入れには慎重なようだ。(ワシントン 大内清、パリ 三井美奈)

米ホワイトハウスのべディングフィールド大統領報道官は3月30日の記者会見で、米国が保証国として関与する案について、「ウクライナとは常に協議しているが、詳細は差し控える」と述べるにとどめた。

フランスのルドリアン外相は同日、「ともに取り組む用意がある」と述べる一方、ウクライナのゼレンスキー大統領とプーチン露大統領の直接会談実現を優先すべきだとの考えを示した。ドイツ政府報道官は、ショルツ首相がゼレンスキー氏との電話会談で、原則として協力の用意があると答えたと明らかにした上、現段階では構想の内容がはっきりしないとも述べた。

ウクライナは3月29日のロシアとの停戦交渉で、自国の安全確保を目的とした多国間の安保枠組みを要求した。ウクライナのメディアによると同国交渉団トップは、「保証国」として国連安全保障理事会の5常任理事国(米英仏中露)のほか、ドイツ▽ポーランド▽トルコ▽イスラエル▽イタリア▽カナダ-に参加を求める考えを示した。

さらにウクライナは、北大西洋条約機構(NATO)の「集団防衛義務」と同等以上の法的拘束力を枠組みに持たせるため、各保証国の議会による批准の必要性を主張した。ロシアに拒否権を認めないことも明記すべきだとしている。

ウクライナが強力な枠組みを求めるのは、旧ソ連から継承した核兵器を放棄する見返りに米英露がウクライナの安全保障を約束した1994年の「ブダペスト覚書」が、ロシアによる侵攻でほごにされた轍(てつ)を踏まないためだ。

だが、ウクライナの提案にはリスクが付きまとう。交渉で同国は、将来的に軍事侵攻を受けたり、ハイブリッド戦を仕掛けられたりした場合、保証国がウクライナに兵器を提供するだけでなく、「派兵」を含む支援を行うことも盛り込むよう主張。米国などが現在行っている軍事・経済支援よりはるかに強硬な内容で、実際にこうした措置をとれば、戦火拡大の恐れが強まるのは確実だ。

バイデン米政権は侵攻されたウクライナに携行式地対空・対戦車ミサイルなどを大量供与。その一方で、ロシアとNATOの紛争に発展しないようゼレンスキー政権が求めるウクライナ上空での飛行禁止区域の設定に応じず、NATO加盟国から戦闘機を供与することも避けた。「交渉への参加は米国の役割ではない」(べディングフィールド氏)ともしており、停戦プロセスには当面、〝影〟の立場から関与する構えだ。


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