2022年の新入社員研修を、オンラインではなく対面で行う企業の割合が増えていることが分かった。昨年と比べて、新型コロナウイルス感染防止対策で行動を制限されにくくなったことが背景にあるとみられる。オンライン研修はコロナ禍を機に浸透しつつあるが、若手の離職率上昇などの課題も指摘されている。
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企業向けに社員教育を効率化するツールなどを提供する「manebi(マネビ)」が、各社の人事担当者などに聞いた調査によると、37%が対面で新入社員研修を行うとしていた。オンライン研修は34%、対面とオンラインの併用は29%だった。
同社が昨年6月に行ったアンケートでは同年の新入社員研修は対面が20%、オンラインが45%、対面とオンラインの併用は35%だった。新型コロナウイルス対策の蔓延(まんえん)防止等重点措置が先月解除されるなど、新型コロナウイルスに行動を制限される機会が減って、出勤しやすい環境になったことが影響したとみられる。
この結果を受け同社執行役員CRO(最高収益責任者)の清水龍太氏は「併用も含めるとオンライン研修が約6割を占めている」と指摘し、オンラインによる研修が定着しつつあるとした。
一方で、オンライン化による弊害も浮かび上がっている。新型コロナの影響が強まった20年以降、新人研修を対面からオンラインに変えたことで発生した課題について複数回答で聞いたところ「新卒社員間での連帯感が薄まった」(44.0%)、「コミュニケーション不足が目立つ」(42.2%)などの回答が目立ったという。
こうした問題はベテラン社員でも起き得るが「経験が積めずに対面コミュニケーションが苦手な新入社員が増えた」(21.4%)、「新入社員の離職率が上がった」(19.0%)といった新人特有の問題も起きていた。
緊張した雰囲気を雑談などで和らげる「アイスブレーク」を取り入れたり、既存社員がマンツーマンで新入社員の面倒を見る「ブラザー」の制度を設けたりと、オンライン化の弊害を取り除くために各社は知恵を絞っているようだ。
調査は3月18日、インターネットで行われた。有効回答数は356件だった。