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東証再編、厳しい船出 逆風で投資増は期待薄

東京証券取引所の市場再編は逆風下の船出となった。証券大手の相場操縦事件など相次ぐ企業不祥事が市場の信頼性を揺るがし、ウクライナ危機の混乱が追い打ちをかける。世界で戦える企業を厳選するはずだった最上位「プライム」市場の顔ぶれも大きな変化がみられず、投資家の評価は冷徹なものになりそうだ。

新市場区分での取引が開始された=4日午前、東京・日本橋兜町の東京証券取引所(酒巻俊介撮影)
新市場区分での取引が開始された=4日午前、東京・日本橋兜町の東京証券取引所(酒巻俊介撮影)

上場企業に高いコンプライアンス(法令順守)を求めた今回の再編。だが、子会社が政府の給付金を不正受給した旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)や、日野自動車の排ガスデータ改竄(かいざん)など、プライム所属の大企業による不祥事が再編直前に相次ぎ発覚した。

市場運営の一翼を担う取引参加者のSMBC日興証券で副社長らが逮捕された相場操縦事件は、特に市場の信認を大きく傷つけた。東芝や関西電力などガバナンスに問題が指摘される企業がスムーズにプライムに残れたことも投資家の不信感に拍車をかけている。さらに、海外投資家はロシアがウクライナへ侵攻した2月4週以降、一貫して数千億円単位で売り越すなど守りの姿勢を強めており、現状では再編による投資の呼び水効果は期待できない。

東証は玉石混交の企業が集まる1部市場を廃し、国際的に魅力的な優良企業に絞り込んだプライムを創設することで、市場を活性化する狙いがあった。

しかし、上位市場からの脱落を恐れた中堅企業の反発や政府への配慮から、基準緩和や経過措置を受け入れた。結果的にプライムは約2200社から約1800社に2割絞り込まれたとはいえ、米ナスダック(約1600社)や英ロンドン(約500社)など海外主要取引所に比べて高止まりした状況は解消されず、「代わり映えしないマイナーチェンジ」と揶揄(やゆ)する投資家の声は少なくない。

「すべての企業が各市場のコンセプトに沿って上場しているかという点について、今後、さらなる前進が必要だ」。4日の新市場区分での取引前に行われたセレモニーで、資産運用大手アセットマネジメントOneの菅野暁社長はこう述べ、東証や上場企業に追加的な改革を求めた。

みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、経過措置の期限を早く示すとともに、上場基準のさらなる厳格化が必要だと指摘。「段階的に見直すのではなく一気に改革しないと海外投資家は評価しない」と警鐘を鳴らす。(西村利也)


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