東証新市場スタート、8割超が最上位「プライム」市場へ移行

    東京証券取引所は4日、株式市場を再編し、新たに開設した3市場での取引を開始した。各市場の特徴を明確化し、上場基準を厳格化して国際的な競争力のある企業を上位市場に絞り込むことで、海外から投資を呼び込む狙い。ただ、基準に満たなくても希望の市場に当面とどまれる経過措置が設けられたため、最終的に東証1部の8割超に当たる1839社が最上位の「プライム」市場に移行。うち約300社が基準未達となっている。

    新市場区分セレモニーで出席者によりテープカットが行われた=4日午前、東京・日本橋兜町の東京証券取引所(酒巻俊介撮影)
    新市場区分セレモニーで出席者によりテープカットが行われた=4日午前、東京・日本橋兜町の東京証券取引所(酒巻俊介撮影)

    東証の再編は2部市場が創設された昭和36年以来60年ぶり。新市場での取引が開始される午前9時前にはセレモニーが行われ、東証を傘下に置く日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は「市場区分の見直しをひとつの契機として、上場会社には取り組みが進展していくことを大いに期待している」とあいさつした。

    今回の再編では、従来の東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4市場を廃止し、グローバル企業向けで最上位のプライム、中堅向け「スタンダード」、新興向け「グロース」の3市場を開設した。スタンダードは1部、2部などから移行した1466社で構成。グロースは、ジャスダックとマザーズからの移行に新規上場を加えた466社となる。

    プライムには、流通株の時価総額100億円以上、全体に占める比率35%以上といった市場に関連する基準のほか、気候変動対応や独立社外取締役の比率を取締役全体の3分の1以上にするなどのガバナンス(企業統治)面の強化が求められる。

    だが、基準未達でも基準適合に向けた計画書を提出すればプライムに移行できる経過措置が設けられたため、現行の1部に所属する企業の顔ぶれにほとんど変化がみられない。経過措置の適用期限は現状では設定されていないことから、一部投資家からは「運用次第では骨抜きになりかねない」との指摘もある。

    また、日経平均株価は、これまで東証第1部から日本経済新聞社が225銘柄を選んで算出してきた。4日以降は最上位のプライムの上場企業から同様に算出するため、実質的に変更の影響は受けない。


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