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ロシアの外交官追放、日本政府は慎重

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧米諸国でロシア外交官を国外追放する動きが相次いでいるが、日本政府に今のところ同調の動きはなく、慎重に対応する構えだ。日本政府が外交官を退去させた前例は限られており、報復への懸念も背景にある。

記者会見する松野官房長官
記者会見する松野官房長官

松野博一官房長官は5日の記者会見で、欧米諸国による露外交官の追放に関して問われ「ロシアへの制裁はG7(先進7カ国)を含む国際社会と連携し、機動的に厳しい措置を講じてきた。引き続き状況を踏まえつつ適切に対応する」と述べるにとどめた。外務省幹部は、日本が同調する可能性について「今のところ聞いていない。ひょっとしたらそういう話になるかもしれないが」と語った。

政府が慎重な理由の1つは報復が予想されるからだ。仮に日本が追放に踏み切れば、ロシア側が人数やレベルで同様の措置を取ってくることは、ほぼ確実。在露大使館の人数が減れば在留邦人の保護など、緊急時の領事業務にも支障が生じる懸念がある。

外交官の追放は、外交関係に関する「ウィーン条約」に基づき、当該人物を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として相手国に通告し、退去を求めることなどを通じて行われる。

外務省によると、日本政府が過去に「好ましからざる人物」を通告した事例は3例だけだ。昭和48年には韓国の金大中氏(後の大統領)が東京都内のホテルで拉致された事件への関与により韓国外交官を、平成18年には暴力団に賭場を提供したコートジボワールの外交官を、それぞれ退去させた。同24年にはシリア国内での市民虐殺に抗議し、同国大使を追放している。

このほか、旧ソ連の外交官らに産業スパイの疑いで退去要求した事例もある。いずれも違法行為を理由に個人を退去させた事例ばかりで、欧米のような大規模追放は前例がない。

2018(平成30)年に英国でロシアの元情報機関員が神経剤で襲撃された事件では、日本政府はG7で唯一、外交官追放を含む対露制裁を見送っている。今回も同様の対応となる可能性がある。(千葉倫之)


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