温泉だけじゃない 「疲れにくい心と体」を作る別府の「ONSEN WORK」を体験

    新型コロナウイルス禍によるテレワークの普及で脚光を浴びている「ワーケーション」。場所から解放された働き方を、新たな観光スタイルとして取り入れる動きが全国の観光地で活発化する中、ユーザー投票による「みんなで選ぶ温泉大賞」を手掛けるビッグローブ(東京都品川区)が全国の温泉宿とタッグを組んだワーケーションプラン「ONSEN WORK」が動き出そうしている。その中でも特に人気の温泉地、大分県は別府温泉郷の北浜エリアと共同開発した企業向けの「ONSEN WORK」にフォーカス。温泉のリラックス効果に加え、日常的に心身の健康状態を維持できるコーチングプログラムや歓楽街での“心の癒し”などがパッケージ化された、“北浜ならでは”のワーケーションをSankeiBizの記者が一足早く体験した。

    温泉だけじゃない、別府温泉の「ONSEN WORKプログラム」とは?(SankeiBiz編集部)
    温泉だけじゃない、別府温泉の「ONSEN WORKプログラム」とは?(SankeiBiz編集部)

    ワーケーションで別府温泉を日常に

    「別府八湯」の名で知られ、源泉数・湧出量ともに日本一(※)を誇る別府温泉郷でワーケーション。肩こりや鬱々(うつうつ)とした慢性疲労など典型的な“在宅疲労”にさらされている身に、それはとても甘美な響きに聞こえた。(※環境省「温泉利用状況」より)

    温泉地に仕事は持って行きたくないという気持ちもあったが、平日を使って滞在できるワーケーションならば週末の混雑も避けられ、何より日常生活さながらに温泉に入れるという従来の温泉旅行にはなかった楽しみ方もできる。発想を切り替え、半ば「湯治生活」を体験するような心持ちで「ONSEN WORK」の舞台となる別府・北浜へと向かった。

    生活を見直す“気づき”を提供したい

    滞在先は北浜エリアの老舗旅館「ホテルニューツルタ」。温泉気分が高揚するなか、まず手渡されたのは桶と手ぬぐい、ではなく、ストレスを測定するための検査用スティック。訝(いぶか)りながらも唾液を採取し、測定器で測ると弾き出された数値に驚愕(きょうがく)した。正常とされる値をはるかに超えていたのだ。驚きも収まらないまま、次は自律神経のバランスや血管年齢などを測定した。

    結果は血管年齢が実年齢を若干上回る程度で、交感神経と副交感神経のバランスもそれほど悪くはないことに胸をなでおろした。「ONSEN WORKはまず、自分自身の現状を知ることからプログラムが始まります」と説明するのは、同ホテルの経営企画室室長、鶴田宏和さん。3泊4日の滞在期間中に受けるプログラムの前後でどれくらい心身のストレスが改善するか体感してもらうことを目的としていると続けた。


    プログラムの内容は主に「体」「浴」「食」「眠」のカテゴリーに分類されている。具体的には、体の使い方を改善して疲れにくい身体づくりへと導くボディメイクトレーニングや、普段の食生活の問題点を探るミネラルなどのチェック、「腸活」を促す食事メニュー、リラックスに重きを置いたヨガやデトックスを促すハーブテントサウナなど。これらのプログラムが滞在中の生活リズムに合わせてスケジューリングされている。

    ここで気になるのは別府の代名詞ともいえる「温泉」の要素を前面に押し出していないことだ。尋ねると、鶴田さんからは「別府ではいつでも好きなときに温泉に入れます」という答えが返ってきた。

    確かに、同ホテルが位置する北浜エリアには砂湯で有名な老舗の「竹瓦温泉」を始めとする共同浴場が数多く存在し、すぐに歩いて行ける環境にある。敢えてプログラム化するものではないということか。

    「温泉も血行改善やリラックス効果を得られますが、それは一過性のものであって根本的な心身の改善ができたとは言い難い」という鶴田さん。「温泉は健康になるための“装置“ではなく“スイッチ”。『ONSEN WORK』では温泉を楽しむことをきっかけに、現在の生活をどう見直せば良い心身状態を保てるのかという“気づき”を提供することを目的としています」という。


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