テレワークを中心とするビジネスワーカーを襲う「突然休職」とストレスの関係について調査したところ、1日平均4件のテレワーク会議参加を境に「高ストレス者」の割合が急増することが、働き方のコンサルティングを手掛けるワーク・ライフバランス(東京都港区)と、ストレスを可視化するアプリ「ストレススキャン」などを提供するDUMSCO(同)の調査で分かった。ほぼテレワークを中心とするビジネスパーソンの約18%が高ストレス者で、その57%は知らないうちにストレスをため込んで突然休職するリスクの高い「隠れテレワ負債者」であることも浮き彫りとなった。
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エース社員に多い「隠れテレワ負債者」
調査は2月中旬、週1日以上オフィス出社せずに勤務する全国22歳以上のビジネスパーソン367人を対象にインターネットを通じて調査を行った。
自律神経の活動量を測定することでストレスを可視化するDUMSCOのストレス客観アプリ「ANBAI」を用いて調査した結果、高ストレス者と判定された人の割合は1日平均3件の会議に参加している群では14%だったのに対し、1日平均4件の会議に参加している群では37%と、4件以上の会議参加を境に高ストレス者の割合が急増することが分かった。
高ストレス者の特徴を調査した結果、57%はアンケート式のストレスチェックでは高ストレス者と判定されないことが判明。周囲も本人も察知できずに突然休職するリスクが高い「隠れテレワ負債者」で、その76%が年収800万円を超える、いわゆる“エース社員”であることも分かった。
こうしたエース社員に自身が高ストレス者であることを自覚できない「隠れテレワ負債者」が多い理由について、『メンタル・クエスト 心のHPが0になりそうな自分をラクにする本』(大和出版)などの著者で、秋葉原saveクリニックの院長・鈴木裕介氏は、「ストレスを感じると、アドレナリンなどの抗ストレスホルモンを出し、活動性を上げるために血圧を上げたり血糖値を上げたりして、その状況に対抗しようする。その期間は抗ストレスホルモンでパフォーマンスが“ドーピング”されているような状態で、ストレスがかかっていることを実感することが難しい」と説明。「人間はストレスを頭で考えようとするが、頭で考えていることと体が感じていることには実はものすごく乖離(かいり)があり、得てして体の方が鋭敏であることが多い」と、テレワークに潜むストレスの蓄積に警鐘を鳴らす。
リスク低減のカギを握る「5分」と「7時間」
一方で、打ち合わせに次々とアサインされる中でも、突然休職のリスクを抱えていないエース社員も存在する。それらの低ストレス者と、突然休職のリスクを抱える高ストレス者の違いを分析した結果、会議が連続する場合に5分の休憩をとる「会議間インターバル」と、終業時間と始業時間を11時間以上空けることで7時間以上の睡眠時間を確保する「勤務間インターバル」を実施しているか否かで大きな差があることも判明した。
調査を行ったワーク・ライフバランスは「働く時間や場所が多様化する中で、各自の勤務間インターバルを見える化する勤怠管理を取り入れていくことが重要なポイント」としている。