普通の会社員として働きながら支出を切り詰め、多くを投資に回すことで1億円以上の資産を形成した人気投資ブロガーのたぱぞうさんと、投資家兼コラムニストのおけいどんこと桶井道さん(48)。40代にして経済的に自立し、お金のために働く生活から解放される「FIRE」(ファイア)を実現した2人の目に、FIRE達成後の世界はどう映ったのか。全5回の対談で最終回となる今回は、近年のFIREブームの背景や今の生活について語ってもらった。
1日500円の節約で「老後2000万円問題は解決する」 たぱぞう×おけいどんFIRE対談(1)
「危機は資産増やす好機」投資始めるなら“投信”一択 たぱぞう×おけいどんFIRE対談(2)
初心者にオススメ「ほったらかし投資」テッパン3銘柄 たぱぞう×おけいどんFIRE対談(3)
目標貯蓄額は? 証券会社の選び方は?「これが最適解」 たぱぞう×おけいどんFIRE対談(4)
「投資家」「FIRE」は世間ではまだ通じない
桶井さん
FIREとか投資家とか言っても、一般にはまだまだ通用しないですよね。ちょっと怪しいと言いますか(笑)。
たぱぞうさん
おっしゃる通り、会社を辞める時、職場に説明するのは時間がかかりましたね。「会社を辞めて何をするの?」と聞かれたので、私は「物書きになります」と言いました。
今もFIREについて説明するのは時間がかかるので、「会社経営者」と名乗っています。その方がウケがいいんです。「どういうことやってるの?」と聞かれたら、「不動産賃貸業」と答えます。そうすると、「ああ、なるほど。儲かっているんですね」と納得されます(笑)。おけいどんさんはどうでしたか?
桶井さん
実は、私がFIREしたことは両親以外には知らせていないんです。周辺には「脱サラして、フリーランスになった」と伝えています。
たぱぞうさん
なるほど。ご両親の反応はいかがでしたか。
桶井さん
私が、執筆業をしたり、「子ども食堂」のボランティアをしたり、新しい役割を見つけて活動したりしていることを評価してくれています。人生100年分の資産も、不労所得も用意できていますから、特に心配はされていません。
むしろ、父は難病を患って介助が必要で、母もがん手術を終えたばかりで、両親のことを私が看ることができるので、感謝されています。しっかりと恩を返していきたいですね。FIREと親孝行は親和性が高いと思っています。
たぱぞうさん
それは素晴らしいですね。桶井さんの周囲にもFIREをされた方はいらっしゃるのですか。
桶井さん
心当たりがあるのは2人ですね。一人は学生時代の友人で、大家業をしています。本人は、借り入れが多くて経済的自由には到達していないということで、「セミリタイアだ」と言っています。
今も会社員並みに忙しく働いていて、私から見るとリタイアっぽくは見えませんが、これは個人の価値観の問題ですから否定はできません。私も結構忙しくしていて、「それFIREではないでしょ」とSNSで突っ込まれる時がありあすから(笑)。
もう一人は、私が勤務していた会社の同僚で、脱サラしてカフェを開業しました。金銭的には余裕があるように見えますのでFIREに近いかなと思います。とはいえ、定休日が週に1日だけ。会社員時代より忙しそうで、こちらもリタイアとはほど遠いですね。カフェは雑誌や新聞に掲載されたり、お店を拠点に慈善事業も始めたりしていて、とても充実しているようです。
私も含め3人の共通点は、会社という組織から早期退職して、好きなことを仕事にしている、ということでしょうか。