これも顧客をMECEに分けて、それぞれに対応する車種を効率的に用意するというのではなく、「ほとんど同じだけど、なんとなく違うものを選びたい気分」によって他社の自動車を選んでしまいそうになる顧客をしっかりと確保するための防御策なのです。
ダブりによって非効率になっていると考えがちですが、低コストで流出リスクを抑えているともいえるのです。
過度のMECE信仰は危険
MECE信仰が強すぎると、新たなアイデアに対して「それにはすでに既存の商品がある」と考えてしまいがちです。しかし、ちょっと見方を変えたり、軸を追加してみると、新たな顧客が見えてきたり、他社から攻めてこられる余地に気づくことができたりするものです。
MECEの練習問題で「うまく分けられた!」となって、そこで思考が止まってしまうことがありますが、つねに他の分け方はないか? 軸はないか? を考えておかないと「堅あげポテトうすしお味」のような軸を増やした新製品に顧客を奪われることになるのです。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら