• 日経平均00
  • ドル円127.76127.79

「歴史好き」量産請負人 幸村ゆかりの地で次の一手

大阪城天守閣の名物館長退任

大阪城天守閣(大阪市中央区)の名物館長として名をはせた北川央(ひろし)さん(60)が、先月末に退任した。大阪城天守閣の学芸員となって35年、天守閣の平成の大改修や、欧州の城郭との友好城郭提携のほか、OSK日本歌劇団の歴史ミュージカルの企画、監修などジャンルを問わず縦横無尽に活躍。「歴史や文化財に興味のない人を、どう振り向かせるか」-。多彩な活動を通して、歴史好きを増やす仕掛け作りに取り組んできたが、これからもその使命を果たす。真田幸村ゆかりの地で。

多彩で幅広い人脈

先月末、北川さんの館長退任記念フォーラムが、大阪市内で開かれた。「北川さんは、エンターテインメント界にも幅広い影響を与え、いったい何者なのか分からない」。30年来の親交があるアニメ「忍たま乱太郎」で知られる漫画家、尼子騒兵衛さんは、北川さんとの対談でそう語った。

尼子さんのほか、作家の有栖川有栖さん、落語家の笑福亭仁智(じんち)さん、「ちんどん通信社」リーダーの林幸治郎さん、元OSK日本歌劇団トップスターの桜花昇(おうかの)ぼるさんらとそれぞれ一人ずつ順に対談。その顔ぶれが、北川さんの幅広い人脈を物語っていた。

有栖川さんとの思い出は、真夏の夜に開催した大阪城に伝わる怪談現場を探索するイベントだという。北川さんは、「夜中に、集まった100人くらいの集団がぞろぞろ歩いて現場、現場で怪談を聞く。その記事がインターネット上に出て、ものすごいアクセス数で注目を集めました」と振り返った。

平成19年には、存続が危ぶまれたOSK日本歌劇団をもり立てるため、戦国武将・真田幸村(信繁)を描いた歴史歌劇「真田幸村~夢・燃ゆる~」を企画、監修し、脚本作りにも関わった。「大阪の文化であるOSKを残していかなければという思いでした」(北川さん)。前年に、幸村ゆかりの上田城(長野県上田市)と大阪城が友好城郭提携したことも契機となったという。OSKは今年100周年を迎え、幸村役をこれまで何度も演じてきた桜花さんは、「北川さんの舞台はいつも満員になるんです。私自身、幸村の生きざまからエネルギーを頂き、走り抜けてきました」と話した。

海外とも提携

北川さんは昭和62年、学芸員として大阪城天守閣に奉職。主任学芸員、研究副主幹、研究主幹を歴任し、平成26年に館長に就任した。大阪城天守閣の平成の大改修、国の登録有形文化財の指定などに尽力し、学術調査や研究のみならず、大阪城の歴史や魅力を伝えるさまざまな事業企画に携わってきた。

18年には、オーストリアのエッゲンベルグ城で大坂城を描いた屛風(びょうぶ)絵が発見され、調査を依頼された北川さんは、その写真を見て、豊臣秀吉が亡くなった慶長3(1598)年前後の大坂城の景観と判断。そこから海外との交流が生まれ、平成21年にエッゲンベルグ城と友好城郭提携を結んだ。さらに29年、フランスのブルターニュ大公城と提携した際には「(フランス・ナント市の)オペラ座で行った講演が5階席まで超満員の大盛況となりました」と思い出を語った。

使命は続く

学芸員の一番の使命は、これまで大切に伝えられてきた文化財を後世に残していくことであり、そのためには、一人でも多くの人に歴史に関心を持ってもらうことだと北川さんは話す。特に、「歴史や文化財に興味のない人をどうやって振り向かせるか」に心を砕き、歴史ミュージカルを企画し、歌劇ファンを歴史の世界に引き込んできた。「いろんなジャンルで、歴史好きになってもらうような仕事をしてきたつもりです」

今後は、これまでも兼務していた幸村ゆかりの九度山・真田ミュージアム(和歌山県九度山町)の名誉館長として、執筆や講演活動を通じて歴史ファンを増やしていくという。(横山由紀子)

きたがわ・ひろし 昭和36年、大阪府生まれ。神戸大学大学院文学研究科修了。昭和62年、大阪城天守閣学芸員となる。平成26年から館長を務め、令和4年3月末に退任。大学や研究機関などで講師、研究員、委員を歴任した。著書に『おおさか図像学』『大阪城ふしぎ発見ウォーク』『大坂城と大坂の陣』『大坂城』など多数。


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)