カーボンニュートラルを補完 資源循環型ベンチャーが地球温暖化対策に貢献

    廃棄古紙を再利用したプラスチックフリー素材

    カミーノ(東京都港区)は、廃棄される古紙を再利用し植物由来樹脂のポリ乳酸と合成したプラスチックフリー素材「PAPLUS(パプラス)」を開発しています。カーボンニュートラル素材で、リユース・リサイクルができることを強みとしています。協業ニーズは幅広く、プラスチック製品を使っている外食産業やレジャー施設、ホテルチェーンなどの他、脱プラスチックを目指したい化粧品・建材メーカーなどとの連携の可能性が考えられます。


    顧客ニーズに合った藻類の商品化

    アルガルバイオ(千葉県柏市)はマーケットインの開発方式を取り入れ、顧客ニーズを的確に踏まえた上で藻類を原材料とした商品化を進めています。成長領域としてとらえているのが健康食品・化粧品、食料・飼料添加物、バイオエネルギー・プラスチック市場です。睡眠・ストレスなどの改善を訴求する素材やタンパク質・食品色素、バイオプラスチックの共同開発などを外部との協業で進め、事業拡大を狙います。また、藻類によるCO2吸収機能による市場開拓も期待されます。


    廃棄食品から化粧品原料

    ファーメンステーション(東京都墨田区)は、廃棄食品などの未利用資源からエタノールやサステナブルな化粧品原料の開発・製造を行っています。製造過程の全体でゴミを出さない仕組みを設け、環境負荷の低い自然エネルギー、水資源を有効活用しています。すでにアサヒホールディングス(りんごスパークリングワインの製造過程で出るりんごのしぼりかすを活用)、全日本空輸(廃棄バナナ)、カルビー(規格外じゃがいも)、象印マホービン(試食ご飯)など大企業との協業実績も多数あります。


    モバイルバッテリーのシェアリング充電サービス


    GREENUTILITY(グリーンユーティリティ、東京都新宿区)は、モバイルバッテリーのシェアリング充電サービス「mocha(モチャ)」を展開しています。専用ステーションからモバイルバッテリーを借り、移動しながら充電ができるソリューションで、充電器の共有化によってレアメタルの節約など、環境負荷を抑制できるとして注目を集めています。料金は1時間110円で、外国人の利用が増えるのを見越して支払いはキャッシュレスです。


    ブロックチェーンで地域内の再エネ資源を可視化

    chaintope(チェイント―プ、福岡県飯塚市)は独自のパブリックブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」を提供し、トレーサビリティやサステナビリティなど4分野で、経済と環境の好循環を促すプロジェクトを展開しています。佐賀市との取り組みでは、地域で生まれた再エネ資源の可視化と循環、地域通貨による地域内経済の循環という仕組みに挑戦、実績も残して環境価値証書も発行されました。また、ゲーム感覚でCO2削減行動につなげるアプリの開発を進めています。

    昨年10月から11月にかけて開催されたCOP26からわずか数カ月で世界情勢は一気に変わり、気候変動対策も不透明感が漂っています。大企業とベンチャーのさらなる協業による資源循環の高度化が急がれます。


    奥村剛史(おくむら・たけふみ) デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 ビジネスプロデュース事業部

    慶応義塾大学経済学部卒、環境経済学専攻。大手精密機器メーカーで商品企画や中期計画策定を担当。米国駐在時に経営・マーケティングDXを推進し、スタートアップとの新規事業立ち上げに尽力。その後、デロイトトーマツベンチャーサポートに入社。大企業への新規事業立ち上げ支援や、ベンチャーとの協業支援を実施。


    Recommend

    Biz Plus

    Recommend

    求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

    求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)