一括、実質…「1円スマホ」復活 総務省が排除する激安販売は“悪”なのか

携帯電話ショップや家電量販店などで、携帯電話やスマートフォンを「一括1円」「実質1円」など非常に低価格で販売するという手法は、かつて携帯電話の販売の現場では当たり前となっていたもの。一時その姿を見ることはなくなっていたが、2021年の半ば頃からまた復活しているようだ。

なぜ激安販売が姿を消し、また復活したのかというと、そこには通信を取り巻く行政の影響が非常に大きく影響している。改めてその経緯を振り返ると共に、スマートフォン激安販売の是非を考えてみたい。

携帯大手3社の色鮮やかなポスターが貼られている東京・新宿の家電量販店入口(鈴木健児撮影)
携帯大手3社の色鮮やかなポスターが貼られている東京・新宿の家電量販店入口(鈴木健児撮影)

業を煮やした総務省

そもそも携帯電話会社が、携帯電話やスマートフォンを激安販売したがるのはなぜかというと、それは携帯電話のビジネスがいわゆる“サブスク型”だから。つまり、携帯電話会社にとって最も重要な収入源は利用者が支払う毎月の通信料であり、端末販売はビジネスの柱ではないのだ。

一方、消費者は端末に対する関心が非常に高いので、契約者を増やすには、いかに人気のある端末を安く販売できるかが重要になってくる。そこで携帯各社は端末を激安販売して加入者を増やし、通信料で稼ぐことに比重を置いた戦略を長年取ってきた訳だ。

そうした携帯電話会社の姿勢を長年問題視していたのが総務省であり、その主な理由は、端末の激安販売が競争を阻害する要因となっていたことだった。激安販売をするには値引き耐えられる企業体力が必要で、展開できるのは大手企業に限られる。それが小規模の仮想移動体通信事業者(MVNO)などにとって不利な状況を生み出してしまうことは確かだ。

だが、より総務省が懸念していたのが、激安販売が契約の“縛り”につながっていたことである。以前は通信契約と端末をセットで販売することが認められていたことから、携帯各社は端末を激安販売し、その原資を毎月の通信料に上乗せして回収するという手法を取っていたのだが、利用者に途中で解約されてしまうと原資の回収ができず損を被ってしまう。

そこで携帯各社は、販売した端末を他社の回線で使えないようにする「SIMロック」をかける、長期間の契約を前提に通信料を値引きする代わりに、途中で解約すると高額な違約金を支払う必要がある、いわゆる「2年縛り」などの仕組みを導入することで解約を難しくしていた。これが他社への乗り換えをしづらくし、競争阻害の大きな要因になっているとして、総務省が問題視していた訳だ。

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