▼HSP 4つのタイプ
わかりやすくなるよう、エレイン・アーロン氏の4つのタイプ分け*と、職場でよくある具体例をご紹介しておきます。これを見ると、友達や同僚などに思い当たる人が思い浮かぶのではないでしょうか。
1.情報を深く処理するタイプ
微妙なことにもよく気づき思慮深い反面、非HSPなら考えが及ばないところまで考えすぎるため、結論を出すまでに時間がかかる
《例》情報を深く処理するタイプの心の声…仕事を振るとき
「あれ、〇〇さん、今日は元気がないみたいだけど。もしかしてさっき頼んだ仕事が難しかったかな。もう一つ頼みたいことがあるのだけど、このタイミングでは言わない方がいいかかも知れない。今抱えている仕事が終わってから声をかけた方がいいんだろうか。それとも、違う人に頼んだ方がいいかな。
そうだBさんはどうだろう。でもBさんは今日、いつもより忙しそうに見えるな。私が自分でやるとすると、最短でも夕方になるから、やっぱり誰かに頼んだほうが早そうだし。比較的手が空いていそうなCさんだったらどうだろう。あれCさんは、出かける準備をしているみたい。頼んだら断られるかな」
2.刺激を強く感じやすいタイプ
繊細にキャッチできるため、音、人混み、複雑なタスクなどに圧倒されやすい
《例》刺激を強く感じやすいタイプの心の声…音が入り混じる職場で働くとき
「移転でワンフロアになったら、便利になったけど電話や話し声が気になって集中できないなぁ。あぁ、聞くつもりはないのに、いろんな話の内容が聞こえてきちゃう。なんだか、すごく疲れて仕事にならないぞ。
前の事務所は狭かったけど静かでやりやすかったなぁ。そうだ、誰も使っていない会議室でやってみよう。ここなら、静かで集中できそう」
3.感情反応が強く、共感力も高いタイプ
感情の振れ幅が大きく、他者の喜びや悲しみも自分のことのように感じやすい
《例》感情反応が強く、共感力も高いタイプの心の声…近くで上司が部下を怒鳴っているとき
「またA部長は新人のBくんを怒鳴っている。A部長が大きな声を出すと、こちらまで身体がビクっとするんだよなぁ。周りの人は何も言わないけど気にならないんだろうか。自分が怒られているわけじゃないけど、気分が沈むなぁ」
4.小さな変化や刺激にも敏感なタイプ
五感が敏感で、細かいことにもよく気づくため、過度に気にしてしまうことも
《例》小さな変化や刺激にも敏感なタイプの心の声…納品する商品の色に違和感があるとき
「あれ、今回のロットは色が微妙に明るくないかな。オレンジと緑は天気や温度によっても色味が変わることがあるけど、このまま納品してクレームがこないんだろうか。営業さんが大変なことになってないかなぁ。取引先がOKでも、あちらのお客様からクレームが来たらどうしよう。〇〇さんも、××さんもこのくらいは大丈夫って言ったけど、やっぱりちょっとこの色味が違う。このまま納品するのは心が痛むな」
具体的なタイプ分けを見て、イメージがしやすくなったと思います。このような人が3~4人に1人はいると考えて、みんなが安心して働ける環境づくりを考えていけるとよいですね。
HSPと働くのは大変!? HSPの能力とは
HSPはある環境の元では実力を発揮しにくい特性です。不正確な情報が蔓延し、不安症やうつ病などのネガティブな印象を持っている人もいることでしょう。しかし「HSPと働くのは大変」と決めつけるのは、ちょっと違うかも知れません。
自身もHSPであることを公言し、HSPの研究をしているコートニー・マルケサーニ氏は、HSPの才能として以下の4つを挙げています*
- 感情を読み取る能力に長けているため、人への思いやりが強い
- 手がかりやサインを感じ取って、通常なら見逃される重要な情報を感知する
- 視空間認知力が鋭く、多面的な角度から見ることができる
- クリエイティブで感じとったことを表現するのが得意
心理療法士のイルセ・サンは、HSPの能力として以下の7つを挙げています*。
- 一度に多くの情報を吸収できる
- 音やにおいなどの繊細な違いも察知できる
- ゆっくり深く多角的に考えられる
- とても慎重で危機管理能力が高い
- 共感力が高く、気配り上手
- 誠実で責任感がある
- 想像力が豊かで内的生活が充実している
このような能力を持つ人たちを活かすことができれば、仕事の質や職場の効率を上げることも可能ではないでしょうか。様々な特性を持つ人を受け容れ、共存していくことが求められる時代において、多様性を活かす働き方は大事なテーマです。敏感な人たちは神経症傾向・抑うつ・不安をもちやすいという研究もありますが、病気のように直すものだというのは誤解です。
外向的なのにHSPだと言う人は嘘つき!? HSPのタイプについて
最近「HSPは内向的な人はなんでしょ? 外交的な性格なのにHSPだと主張するなんておかしい。あれは偽HSPだと思う」といった声を聞くことがあります。
たしかに内向的な人が多い傾向はあります。しかし、HSPの約3割の人は外向的であると言われており、中には刺激的なことを求めるHSPもいるのだそうです*。