HSPに関する7つの誤解 5人に1人どころか3~4人に1人?刺激を求めるHSPも?

こういった複雑さもあり、詐病のような扱いを受けたり、職場に理解をされなかったり、HSPは理解されにくいというのが現状のようです。労働法の専門誌では、実例として以下のようなケースが紹介されていました*。

HSPは理解されにくい 実際にあったケース


何の問題もなく働いていた女性が、新しく入社した女性のたてる大きな音が苦痛で、通常に働くことが難しくなってしまいました。医師には、不安神経症でHSPである可能性が高いと診断されました。大きな音が苦痛で働けないため、会社と相談してテレワークに変えてもらいました。


今まで通りの成果をあげていたものの、テレワークを理由にボーナスを大幅減額され、退職に繋がりました。専門家に相談したところ、テレワークによる減額の違法性を争うのは難しいと言われ、労災申請してみてはどうかとアドバイスされました

刺激に敏感であることが「わがまま」のように捉えられてしまう事例だと感じました。皆さんの職場でも、HSPを活用しようとすると「ずるい」「特別扱い」と感じてしまう人がいると思います。そんな人には、ぜひ「公平」ではなく「衡平」という概念で考えてみてください。

感受性の高い人は良くも悪くも、環境の質に影響されやすいことが指摘されています。3~4人に1人はいるということが報告されている以上、そろそろ考え方を改め、みんなが働きやすい環境整備をしたいものです。

自分もHSPかもと思うあなたへ HSPとの付き合い方

「自分もHSPかも?」と思う人のために、特性を活かし穏やかに過ごしていくためのポイントをご紹介しようと思います。

自身もHSPであることを公言している、日本のHSPカウンセラー武田友紀氏は「繊細な人は、むしろ自分の繊細な感性をとことん大切にすることでラクになり、元気に生きていける」と言います。以下、武田氏の著書「『気がつきすぎて疲れる』が驚くほどなくなる『繊細さん』の本」からの抜粋です*。

■刺激から自分を守る


・感覚を麻痺させるのではなく物理的に環境を整える

・自分を出せば出すほど自分に合う人が集まってくる

・自分を出さないようにして「殻」をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまう

武田氏は、人に頼ることの大切さも訴えています。そうは言っても頼るのが苦手という人も多そうです。特にHSPの人は「どう思われるだろう?」「忙しいのでは?」など気をまわし過ぎるのではないでしょうか。そんな人にはこのTIPSが役に立ちそうです。

■人に頼るのが苦手な人の頼るための心得


1.まずは「頼る」という発想を持つ 洗濯機を使うイメージ

2.相手の状況を推測せず言葉で確かめる

3.信じて任せる

「『気がつきすぎて疲れる』が驚くほどなくなる『繊細さん』の本」は、HSPの自覚がある人が、どのように生きていけばいいのかに特化している本です。当てはまる人は、読んでみるとラクになる部分が多いと思われます。

誤解が解けるとラクになる

HSPについてここまで知ると、冒頭に挙げたHSPに関する「7つの誤解」が解けてくるのではないでしょうか。特性や違いを知ることで、HSPの人だけでなく、接する側もモヤモヤが減りラクになることもあるでしょう。

【誤解1】「繊細な性格だ」と甘えている人のことである

⇒HSPは性格ではなく、生まれ持った気質と考えた方がいい


【誤解2】HSPの人には「あまり気にしないように」と指導する

⇒注意されて直せる類のものとは違うと考えた方がいい


【誤解3】HSPは特別な人なので自分の職場にはいない

⇒どの職場やコミュニティにもいると考えた方がいい


【誤解4】HSPと働くのは大変

⇒違う才能を持っている人と働くと考えた方がいい


【誤解5】HSPは全員が内向的

⇒外向的なタイプや刺激を求めるタイプのHSPもいると考えた方がいい


【誤解6】HSPを特別扱いするのはズルい

⇒様々な人が効率的に働ける環境整備を考えたほうがいい


【誤解7】HSPの人は自身の心を麻痺させて環境に合わせればOK

⇒環境を整えて自分を守ろうと考えた方がいい

HSPに限らず、誰もが働きやすい職場にすることが求められる時代になりました。多様性を受け容れ、活用することを真剣に考えていけるといいですね。

*引用文献


Aron, E. N. (2013). The highly sensitive person: How to thrive when the world overwhelms you. Kensington Publishing Corp..

Suomi, S. J. (1987). Genetic and maternal contributions to individual differences in rhesus monkey biobehavioral development.

Keers, R., Coleman, J. R., Lester, K. J., Roberts, S., Breen, G., Thastum, M., ... & Eley, T. C. (2016). A genome-wide test of the differential susceptibility hypothesis reveals a genetic predictor of differential response to psychological treatments for child anxiety disorders. Psychotherapy and psychosomatics, 85(3), 146-158.

Boyce, W. T., & Ellis, B. J. (2005). Biological sensitivity to context: I. An evolutionary–developmental theory of the origins and functions of stress reactivity. Development and psychopathology, 17(2), 271-301.

Pluess, M., Assary, E., Lionetti, F., Lester, K. J., Krapohl, E., Aron, E. N., & Aron, A. (2018). Environmental sensitivity in children: Development of the Highly Sensitive Child Scale and identification of sensitivity groups. Developmental psychology, 54(1), 51.

Aron, E. N. (2011). Psychotherapy and the highly sensitive person: Improving outcomes for that minority of people who are the majority of clients. Routledge.

コートニー・マルケサーニ 2021年 「繊細さん」の4つの才能 世界最先端のHSP研究家が教える繊細さを強みに変えるヒントSBクリエイティブ

イルセ・サン著 2016年 鈍感な世界に生きる敏感な人たち ディスカバー・トゥエンティワン

須田美貴 黒田英雄 なかなか理解されないHSP 労働法学研究会報 第73巻 第一号

武田友紀 2018年 「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本 飛鳥新社

最強のコミュニケーション術は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。アーカイブはこちら

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