日本人は「良いと言うけどやらない」国民? 社会課題めぐる意識と行動にズレ 国別トップに

    社会課題解決に対する賛同率の高さと行動率について国別に調査したところ、対象5カ国のうち日本が「最も意識と行動が乖離(かいり)している」という実態が浮かび上がった。博報堂DYホールディングスが設立したSIGNING(サイニング、東京)が実施した調査で判明。日本人が社会課題解決に関する行動を起こす動機として、「お得感」や「ラクさ」を重視する傾向も見えてきた。

    エコバッグの利用も「使わないと損する」から?(Getty Images)※画像はイメージです
    エコバッグの利用も「使わないと損する」から?(Getty Images)※画像はイメージです

    日本人の行動変容には「利己的」な要素も

    調査は日本を含む世界5カ国の6都市に暮らす4500人を対象に「ジェンダー発言への配慮」「男性の育児休暇」「リサイクル品の購入」「災害用備蓄」など30の社会課題解決に対する賛同率と実際の行動率を比較した。日本では昨年10月に16~69歳の男女3000人を対象に実施。海外では昨年11月にニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ベルリン、ストックホルムの各都市で300人ずつ、合計1500人を対象に行った。

    その結果、社会課題解決に関わる行動への平均賛同率(「とても賛成」「やや賛成」の合計)は日本が82%でトップとなった。しかし行動の平均実施率は日本が31%と最下位で、賛成率と実施率の乖離は日本が最も大きい結果となった。代表的な例としては「男性の育児休暇」(77ポイントの乖離)、「ワーケーション」(同70ポイント)、「寄付」(同64ポイント)が目立った。

    日本人で特に行動率が高かったのは、「詰め替え容器」「ゴミ分別」「マイバッグ利用」など自然環境に配慮した行動。また「SNSで誹謗(ひぼう)中傷しない」「ジェンダー発言への配慮」など、いわゆる「他人に迷惑をかけない行動」も他の地域平均に比べ高い結果だった。

    行動を起こす理由については、「お得だから/やらないと損するから」「やっている方がラクだから」といった自己利益につながる内容が上位に。一方で「地域のために」や「責任感」といった理由は他の地域と比べて低い結果だった。


    調査結果について同社は、「(日本人は)『社会のために』と構えてしまうとなかなか腰があがらないが、自分にとってのメリットが明確であれば第一歩を踏み出しやすいという特性がある」と分析。「利己的なものを取っ掛かりにしながら利他的な行動を広げていくことも、日本で社会課題を解決していく上で有効かもしれない」としている。


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