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急増する「相続難民」のさみしい老後 極小ワンルームが住み家になる「親ガチャ」の世界

PRESIDENT Online

【河合】相続税を納めている人は案外少ないものです。基礎控除額は2015年、「3000万円+600万円×法定相続人の数」へと変更となり、大幅に引き下げられたため、かつて4%台前半で推移していた死亡者数に対する課税件数の割合は同年以降、倍増しました。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yaraslau Saulevich
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yaraslau Saulevich

ただ倍増したと言っても、元の数字が小さいので大したことはありません。公益財団法人生命保険文化センターによれば、2019年の全国平均は8.3%です。ただ、地価が高く高所得者も多い東京都ではこの割合が高く、6人に1人が該当するとされます。

生まれた家で大きく左右される「親ガチャ」の世界

【牧野】相続人が1人の場合、控除可能なのは遺産総額3600万円までですが、これは確かに都内、特に都心部に一戸建てを持っていると、面積や場所にもよりますが、オーバーすることが多いです。たとえ築40年の木造住宅で上物(うわもの)(建物)の価値が0だったとしても、土地代だけでオーバーしてしまいます。

ただ、この土地代というのが曲者で、路線価×坪数で評価額が出ますが、なかには売れない土地もあって、処分しようがないので税金が払えずに物納(ぶつのう)となります。しかし物納にはさまざまな条件があって、簡単ではありません。

ですから今後、相続はしたものの預貯金がないために税金が払えない「相続難民」が出てくる可能性が大いにあります。不動産だけではなく、金融資産も東京圏に偏(かたよ)っていますから、相続問題も地域偏在があるということになります。

【河合】相続とはある意味、格差社会の象徴です。たまたま資産家の家に生まれただけの話ですから、「親ガチャ」の世界です。しかし、政府は今後、資産課税強化の方向に行くと思います。社会保障費の伸びが著しいのに国民の消費税アレルギーは大きく、なかなか税率引き上げとはなりませんからね。

親の財産を子供が受け継ぐ“常識”も変わっていく

【牧野】 不動産と相続は密接な関係にあります。実は、相続の評価額は、現金よりも同じ金額を不動産で持つほうが安くなることが多いのです。というのも、土地は前述の路線価で評価されますが、路線価は時価と言われる公示価格のおよそ8割の水準に設定されています。

また、建物は固定資産税の評価額が採用されますが、再調達価格の7割程度で評価され、減価償却分も考慮されるため、実際の土地・建物の時価よりもかなり安くなるからです。こうした不動産の持つ特性が、金融資産を貯め込んだ高齢富裕層の人気を博しています。そして、それが東京の新築マンションマーケットを歪(ゆが)める構造になっています。

【河合】「親の遺産を相続すれば老後資金は何とかなる」など、捕(と)らぬ狸(たぬき)の皮算用をしている人も多いことでしょう。「相続=親の財産を子供が受け継ぐ」と考えている人が多いと思いますが、2030年頃になると、こうした“常識”も廃(すた)れることになるかもしれません。「人生100年」と言うほどに長寿となり、親が90代半ばで子供が70代というケースが珍しくなくなるからです。


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