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急増する「相続難民」のさみしい老後 極小ワンルームが住み家になる「親ガチャ」の世界

PRESIDENT Online

これから日本人の老後はどうなるのか。不動産プロデューサーの牧野知弘さんは「大量相続で家が余るようになれば、高齢者もワンルームマンションを借りられるようになる。相続税を払えず、自宅を追われた『相続難民』の住まいになるかもしれない」という。ジャーナリストの河合雅司さんとの対談をまとめた『2030年の東京』(祥伝社新書)より、一部を紹介する――。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yaraslau Saulevich
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yaraslau Saulevich

老後資金が足りない人がすぐにできる自衛手段

【河合】もし老後資金が足りなければ、自衛手段を講じなければなりません。それは主に三つあります。①働けるうちは働くこと、②可能な人は資産運用すること、③自分でできることを増やして家計支出を抑えること――です。このうち、誰もがすぐにできるのは③です。

どんなことでも業者や他人に依頼すれば、サービス料を取られます。収入が少なくなった高齢期にこうした手数料が積み重なると家計を圧迫します。しかしながら、若いうちからさまざまな経験を積んで自分でできることを増やしておけば、無駄な出費は減らせます。さらに私が勧めているのが、「スキルの交換」です。

たとえば、大工仕事が得意なおじいさんと裁縫(さいほう)が得意なおばあさんが近くに住んでいるとします。それぞれが得意とするスキルを交換する形で助け合えば、業者にお金を払わないですみます。こうしたスキルの交換の仕組みを地域全体に根づかせておくことです。大概のことは、お金をかけずにできるようになりますから。このような暮らしの知恵を組み込んでいくことが、これからはとても重要となります。

【牧野】今までは1軒1軒の世帯の所得のなかで経済が完結し、世帯間の有機的なつながりはありませんでした。これを若年層の単身世帯も、高齢者世帯も、ファミリー世帯もつながることで、スキルは豊富になります。

わかりやすく言えば、コミュニティ作りです。これはマンションでもできます。むしろ、これからの共同住宅は、みんながシェアする機能がどれほど含まれているかが「売り」になるかもしれません。高齢化が進むニュータウンでも、それができれば、出ていく人は少なくなるでしょう。魅力的なコミュニティ=魅力的な街づくりとなります。

【河合】それが理想というより、そうせざるを得ないのです。昭和30年代くらいまでは東京でも味噌や醤油を貸し借りしたり、自分の庭の雑草を取るついでに隣の雑草を毟(むし)ったりしていました。多くの人が貧しかったので、当たり前のことでした。こうした庶民同士のゆるやかな絆(きずな)を、ある程度取り戻していくしか残された手はないと思います。

「一発逆転で資産を増やしてやろう」は要注意

【河合】幸運にも元手(もとで)のある人は、前述の自衛手段「②資産運用」も選択肢となります。わずかながらも運用益が定期的に入ってくるのは心強いものです。

注意すべきはハイリスク・ハイリターンの金融商品に、定年退職後に手を出すことです。万が一、運用損となった場合、若い頃であれば収入もそれなりにあるので当座の暮らしに困窮することもありませんし、損した分を取り戻す時間的な余裕もあります。しかし、収入が減ってしまった高齢期の運用では、それができません。

一攫千金を狙って退職金を原資に投資した結果、「株が暴落して大損をしてしまった」などという失敗談も聞きます。それこそ取り返しのつかないこととなりかねません。リスクを覚悟した資産運用は、現役時代にすませておくことです。高齢期にも続けるのであれば限度額を決めておくか、リスクの大きくない商品を選ぶのが無難です。

【牧野】あせって無理をする典型ですね。FX(外国為替証拠金取引)に成功した人が書いた本などを読み、「俺も一発逆転で資産を大いに増やしてやろう」などと実行に移してしまう例です。退職金を元手にワンルームマンションやアパートに投資する人もいます。いずれも昭和・平成の発想です。会社員は一度に多額のおカネを手にしたことがないせいか、気ばかりが大きくなって失敗するのです。

おっしゃる通り、この年代になるとリカバリーできる可能性はほぼゼロになります。自分の身の丈にあった老後設計が求められます。

東京圏がこれから迎える大量相続時代

【牧野】今後の日本、特に東京圏では大量相続時代を迎えます。高齢者が多く、死亡者が増えれば、相続が大量発生するのは理の当然です。


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