異例?の出店計画
立地条件と客層を考えると、相対的に単価が高い数百~1000円程度の商品を客が手に取る機会は、他の地域の店舗より多くなるだろう。幅広いジャンルの商品展開で家族連れを取り込みたい考えも透けて見える。
店舗運営の責任者で同社執行役員の山中尚也氏は初の3ブランド同時展開について「ターゲットを絞らないことでここまでやってきた」と話し、銀座店についても同じ考えだと明かした。
銀座店については、売り上げの傾向を分析して商品開発や国内外の店舗運営に生かす方針もあるという。一等地に店を持つことでブランドイメージ強化につなげたい企業もあるが、同社の場合は銀座進出を挑戦だととらえているようだ。
もう一つの挑戦と言えるのが積極的な出店計画だ。大創産業は国内外に6338店舗(2022年2月末時点)を持っており、中心となるダイソーは国内3790店舗、海外2281店舗。今年度内にはダイソーの店舗を国内で200店舗、海外で150店舗増やし、国内外のTHREEPPYとStandard Productsもそれぞれ10~100店舗増やし、合計520店舗(国内350、海外170)の増加を見込んでいる。
2010年以降、5年で約1300店舗増加するペースだったことを考えると、1年間で520店舗増のインパクトが際立って見えるだろう。同社も「いつもなら詳細な出店計画を公開しない」(広報課)と、その異例さを感じ取っているようだった。
国内では47都道府県にそれぞれ旗艦店を設置する予定だ。すでに本社がある広島市のほか札幌市、名古屋市、大阪市、福岡市など9都市に旗艦店が置かれており、銀座のグローバル旗艦店を合わせると10店舗を数えることになる。時期は未定だが、今後は大都市圏以外でも旗艦店が段階的に広がっていくようだ。
強気な出店計画を掲げる一方で、原油価格高騰による生産・輸送コストの増加、新型コロナウイルス禍で人流が戻らない問題などの逆風があり、山中氏は「きついところはある。だが生活インフラを支える会社でありたい」と吐露した。現在は、輸送する際に積荷を効率化したり、一部の商品の生産拠点を海外から国内に移したりすることで総合的なコストを下げられるよう努力しているという。