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社員間ボーナスや仮想オフィス コロナ禍で注目の働き方

新型コロナウイルス禍でテレワーク導入が急速に広がった。利便性が高まる一方、社員間のコミュニケーション不足に悩む企業が増えている。こうした中、直接顔を合わせなくても、社員同士のつながりが補完できるオンラインサービスが多様化している。互いの仕事ぶりを少額の報酬を贈り合うことで褒め合う仕組みや、3次元仮想空間「メタバース」を使った仮想職場など、法人向けのサービスも充実してきた。

褒めることでポイント送付

社員同士のやりとりを増やし、やる気を引き出すためにSNS上で「ピア(仲間)ボーナス」という報酬やメッセージを送り合うサービスが注目されている。

富士製薬工業はソフトウエア開発のユニポス(東京)が提供するピアボーナスを導入している。

「社会人を続けられているのはMさんのおかげ。もっとたくさんのことを学びたいです」。令和3年4月に富士製薬に入社したばかりの経理課の女性社員は、同僚に感謝や称賛の気持ちを抱いたさい、ピアボーナス用の社内SNSにメッセージを投稿して、ポイントを送るのが習慣になっている。

SNS上でやりとりを見た周囲の社員も共感すればポイントを送ることができる。ポイントは会社から付与されており、同社は集まった1ポイントを1円として賞与で還元している。

3年2月、本社部門などで試行し、8月からは対象を国内社員の9割近い約700人に広げた。宇治浩・執行役員経営管理部長は「感謝の気持ちや社員の貢献が見えるようになった」と話す。周囲にやりとりを公開することは「組織が提案や意見を受け入れてくれる」という安心感にもつながる。「伝えたいことや言うべきことを言い合える土壌が育ち、社員のやる気につながる」と考える。

コミュ不足で生産性低下も

コロナ禍が社員同士のコミュニケーション不足を招き、企業の生産性を下げているとの指摘もある。

働き方や人材育成を研究・調査するHR総研(東京)が人事担当者らを対象に3年1月に実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート」によると、「社員間のコミュニケーション不足が業務の障害になるか」との問いに対して、「大いにそう思う」「ややそう思う」との回答は94%に上り、大半が課題ととらえていることが明らかになった。

具体的には「迅速な情報共有」への障害と感じる企業の割合が87・2%と最多で、2年1月調査時より21ポイント上昇した。コロナ禍が長期化することで社内での情報共有や連携が少しずつ難しくなっていることを示唆しており、HR総研では「多くの企業が社内コミュニケーション不足による障害を強く意識している」とする。

そこで対面のイベントに代わる新たなコミュニケーションに期待が寄せられている。社内の宴会や旅行は激減したが、それに代わるオンラインイベントを提供する企業も出てきた。

チョーヤ梅酒(大阪府羽曳野市)は3年11月、法人向けにビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」などを使った梅酒づくりのワークショップを始めた。

趣味講座を展開するホビーズ(大阪市天王寺区)も、体験型のオンラインイベントを3年9月から法人向けに提供している。産業用装置メーカーの荏原製作所(東京)は3年12月、社員のクリスマス会としてホビーズのプランを利用。社員やその家族ら200人以上が画面越しにシェフから薫製づくりを学び、試食を楽しんだ。

荏原製作所では新型コロナ前、スポーツ大会などを開いて社員同士の交流を図っていたが、参加者は会場に近い関東圏の社員になる、という偏りの問題もあった。人事部安全衛生課の鈴木かす美課長は「全国どこからでも参加できるようになったのはオンラインならではの利点。社員の家族も一緒に楽しめ、仕事にも良い影響が表れるのでは」と期待する。

アバターで〝仮想出社〟

民間調査会社のアイ・ティ・アール(東京)が国内企業2973社を対象に調査した「IT投資動向調査」によると、3年度のIT投資予算額を増額した企業は35%になった。通信環境への投資が進んだことも、大人数のイベントにオンラインを活用する動きを後押しする。

中には、メタバースを使い、システム内での分身である「アバター」で集まる〝仮想出社〟を取り入れる企業もある。OPSION(オプション、大阪市北区)が提供するのはメタバースオフィス「RISA(リサ)」。導入した大阪市内にある通信設備施工会社は、テレワークが増えるにつれ何げない日常会話が減り、一体感が失われていることに悩んでいたが、RISAで「東京と大阪の社員間でもコミュニケーションが生まれるようになった」と喜ぶ。仮想空間上で朝礼・夕礼も始めた。

4年中にメタバースオフィスの導入企業を1200社まで増やしたいというOPSIONの深野崇社長も「毎月100件程度の問い合わせがある」と明かし、社員同士のコミュニケーションの必要性が新型コロナ禍で、改めて注目されていることを痛感している。(田村慶子)


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