『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』佐宗邦威著(PHPエディターズ・グループ・1650円)
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「あなたが好きだったものは何ですか?」
「うーん。最近好きって言っていないなぁ」
著者が講師として招かれた講座での一幕です。驚いたのは、「最近好きって…」と答えたのが小学生だったこと。
昨今は、クリエイティビティ(創造性)を高めるにはどうすればよいのか、ビジネスの枠を超え、大学の研究者や小学校などの教育現場からも相談が寄せられています。
創造は、「好き」を軸に始めればいいといえばシンプルに聞こえますが、その自由さゆえむしろ難しい。小学生にとって過去のものなら、社会人にとってはなおさらです。
ノウハウの前に本質から見直す必要がある、中学生でも読めるようにやさしく、わかりやすく伝えるにはどんな方法がよいのか。こうした意識から構成が練られ、「模倣」を起点とすることで本書は形づくられていきました。
好きなものを細部まで観察し、まねる。「感性のセンサー」を働かせることを第一歩に、「技術よりも『ものの見方』」「手を動かして考える」「センスは『自分』『時代』『品質』の3つの軸で捉える」といった具体的なヒントを、4コママンガやイラストを楽しみながら学べます。著者自身がゼロからクリエイティブを学んだ紆余(うよ)曲折の経験談も盛り込まれ、誰でも「これならできそう」と感じてもらえる本になりました。「13歳のうちに読みたかった」と思わずにはいられない、大人も必読の一冊です。
(PHPエディターズ・グループ書籍編集部 佐口俊次郎)