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「男性脳」「女性脳」は存在しない NTT社長の入社式あいさつは何が問題だったのか

PRESIDENT Online

それだけを聞くと、「ビジネスや経営にどんな関係があるのか?」と思われるかもしれません。しかしこれは、実は非常に大きな意味を持ちます。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

例えばひと昔前は、ビジネスで活躍できるエース級人材の「人物像」を描き、その条件に合う人ばかりを採用しようという動きがありました。しかし、あまりうまくいかなかった。いくら優秀だとされる人であっても、まったく同じような人が集まるだけでは、強い組織にはならないからです。

非常に優秀なAさんのところに、Aさんと似た、Bさん、Cさん、Dさんが加わっても、4人の集合知は、Aさん1人のときと大して変わりません。アイデアの幅も、発想の盲点も似てしまうからです。似た人間をどれだけ集めても、集合知は高まらないのです。多様な4人が集まるほうが、集合知は高まります。

同様に、「男性」という型と「女性」という型に人を押し込めてあてはめ、2種類の型が集まったときの集合知よりも、こうした型を取り払い、個々の多様性を活かした状態で集まった方が、各段に集合知は高くなると考えられます。

経営者は「時代は変わっている」というメッセージを

できれば澤田社長のような、影響力のある企業の経営者の方には「均一的な人間理解による標準化の時代から、人の多様性を基準とした個別最適化の時代に移っている」というメッセージを出してほしかったと思います。

産業革命以降の、これまでの時代は、業務の平均化、標準化によって効率化が進みました。ある意味、人の「個性」「個人差」はないものとして「平均人(へいきんじん)」を描き、そこに合わせて標準化され、効率化された業務を定めて、人間にはその通りのことをするように求めました。それで確かに産業や経済は爆発的に成長しました。

しかし今、社会が大きく変化しているのに、多くの企業も私たちも、なかなかこれまでの成功体験から脱却できていません。

誰も幸せにしない「平均人」

平均人は、実は「存在しない人」です。あらゆる面において平均的な人は誰もいないからです。だから平均人をモデルにした標準化に、ぴったりフィットする人はいません。誰もが「自分にはぴたっと合っていないな」と感じながら仕事をしています。つまり、誰も幸せにしない姿なのです。

それでも、拡大し続けるマーケットに向けて効率と大量生産を追求した高度成長期まではうまくいったかもしれません。でも、それで2022年の世界にマッチするでしょうか?

私たちの多くが、ほんの数年前にはまさかコロナ禍や大国の戦争が起こるなんて、想像もしていませんでした。これほど先の読めない、変化のスピードが速い時代に、イノベーションを生むどころか、誰も自分の能力を最大限に発揮できていない状態で、やっていけるでしょうか。

平均人という、たった1つの型に人を当てはめるやり方よりも、「男性」「女性」という型のほうが種類は多くなります。しかし、それで「個別最適化しています」とはとうてい言えません。性別だけでは、分類の「箱」が大きすぎるのです。一人ひとりにパフォーマンスを発揮してもらい、集合知のパワーを生み出すにはどうすればいいかを考えなくてはならない時代に、性別だけでは解像度が低すぎると言わざるをえません。


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