日本ロングトレイル協会(本部・長野県小諸市)は、加盟団体が管理・整備する山岳遊歩道や環境省の自然歩道などをほぼ一筆書きでなぞる全長約1万キロのルートを策定し、「JAPAN TRAIL」として提唱する。新型コロナウイルス禍でレジャーとしての関心が高まる中で、整備された安全な道を推奨する役割に加え、同協会に加盟する約30の団体の個々の活動を日本列島を貫く道に集約することで、利用者や関係者らが共に育てていく気持ちを醸成したい考えだ。
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日本版シルクロード
同協会は今年2月に構想を機関決定し、4月上旬に小諸市で開催されたシンポジウムで加盟団体などにおおまかなルート案を披露した。北海道の東端から鹿児島南端までをほぼ一筆書きでなぞり、沖縄などの道も加える。
ルート案では、加盟団体のトレイルや古道、利用者が多く安全な道を中心に結んだ。今後詳細を詰め、地震や豪雨などで崩落した場所などを除いた現状で安全な最長約5千キロ分を6月に発表、4、5年かけて約1万~1万5千キロを完成させる。
同協会の代表理事を務めるアウトドアジャーナリストの中村達(とおる)さん(73)は「50年以上前、ヒマラヤのカラコルム山域を歩いているとき、現地の人が道を指差して『これがシルクロードだ』と言ったのに衝撃を受けた。立っているところから日本全体がつながっていることが意識できることが大事だ」と構想の意義を説明する。
目印は共通ロゴ
協会では提唱にとどめ、整備などに直接は関わらないが、加盟団体が整備するトレイルでは共通ロゴのシールを道標などに貼ってもらう。
中村さんによると、世界的に有名な北米東部の全長3500キロに及ぶアパラチアントレイルは構想から定着まで70年かかったという。JAPAN TRAILも多くのルートで歴史や文化などが密接にかかわっており、長い時間をかけて追加や延長、廃道を経て熟成されていくとみる。