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脱ロシアを宣言したけれど…「ロシアの代わりは見つからない」欧州のエネルギー不足の深刻度

PRESIDENT Online

エネルギーの「脱ロシア」をEUは実現できるのか

2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。この事態を受けて、欧州連合(EU)は安全保障上の理由から、ロシア産の化石燃料からの脱却を目指そうと躍起になっている。3月8日、EUの執行部局である欧州委員会は「リパワーEU」と名付けた政策文書を発表した。欧州委員会はこの政策文書の中で、2030年までにロシア産の化石燃料の利用をゼロにするという計画を明らかにした。

特に喫緊の課題となっているのが、ロシア産の天然ガスへの依存の問題である。先の政策文書によると、EUは2021年時点で、天然ガス輸入の45.3%をロシアに頼っていた。EUはこの部分を、天然ガスの使用量そのものの削減と、非ロシア産のLNG(液化天然ガス)の輸入増、そしてロシア以外からのパイプラインによる天然ガスの輸入増によって補うとしているわけだ。

LNGの輸入先としてはカタールや米国、エジプト、西アフリカなどが念頭に置かれている。一方で、パイプラインによる天然ガスの輸入先に関してはアゼルバイジャンやアルジェリア、ノルウェーなどが念頭に置かれている。それ以外にも、バイオメタン(バイオガスを精製して濃度を上げたもの)や水素エネルギーの利用を増やしていくことで、EUはロシア産の天然ガスからの自立を図ろうとしている。

本当にEUが2030年までにロシア産の化石燃料から脱却できるか定かではないが、一方でこうしたEUの意向に呼応する動きもEUの外で出てきている。例えば、西アフリカにあるナイジェリアは世界有数の産油国であるが、同国のティミプレ・シルヴァ石油相は3月25日、首都アブジャでEUの高官と会談を行い、EU向けに天然ガスの供給を増やす意向があると表明した。

すでにナイジェリアには、隣国ニジェールやアルジェリアとともに、欧州に天然ガスを供給する「トランスサハラ・ガスパイプライン(TSGP)」を建設する計画があるが、ナイジェリアはEUによる同プロジェクトへの投資を期待しているようだ。またアルジェリアでは、国営石油・ガス会社ソナトラックがイタリアのエニとともに積極的な油田開発に努めており、欧州向けの石油・ガス供給の強化を目指している。

ギリシャは石炭火力発電の延命を決定

EU各国の動きを確認すると、ロシア産の天然ガスに対する依存度を下げるため、ギリシャが石炭の利用の拡大を決定している。具体的には、4月6日、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相が今後2年間の時限措置として石炭を50%増産する方針を示した。一方で、2030年までに温室効果ガス排出量を55%減らし、50年までに実質ゼロにする目標は堅持した。

そしてミツォタキス首相は、2022年中にギリシャ北部コザニ県のプトレマイダで稼働する予定である国営電力会社(PPC)の火力発電所(プトレマイダ5)に関して、2028年まで石炭を燃料に使い続けると発表した。従来の計画だと、プトレマイダ5は2025年まで石炭を燃料に利用するが、翌2026年からは脱炭素化対策として天然ガスを燃料にする方針であった。

同時にミツォタキス首相は、今後の天然ガスの供給量や価格動向に応じて、2023年までに順次閉鎖する予定であったプトレマイダ5以外の石炭火力発電所に関しても、稼働を延長させる可能性に言及している。ミツォタキス首相は2021年9月、ギリシャにある石炭火力発電所を2025年までに全廃する方針を示していたが、それを大きく修正するかたちとなった。

なお英BPの統計によると、2020年時点で、ギリシャの石炭生産量は1399万8000トン、EU加盟国の中で5番目に多かった。とはいえこの10年で、脱炭素化のトレンドを受けて石炭の生産量は75%も減少していた。この動きと歩調を合わせる形でギリシャの電源構成は天然ガスや再エネへのシフトが進み、電源構成に占める石炭火力の割合も52%から14%まで低下していた。


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