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「日本のラーメンは驚くほど美味しいけれど…」中国の若者がカップ麺を嫌がるようになった理由

PRESIDENT Online

「手軽で美味しい」カップ麺人気に翳りが…

3月末以降、上海市が新型コロナ(オミクロン株)の感染拡大の影響によりロックダウンとなっている。マンションの封鎖が長期間に及んでいる上海市民にとって最大の関心事は「食料確保」で、一時「即席麺(カップ麺、袋麺)さえも底をついてしまった」という嘆きがあちこちから聞かれた。

ただし、非常時の保存食として即席麺を必要としている地域を除き、中国全体では、即席麺の人気は急速に翳(かげ)りを見せている。即席麺といえば、保存が利き、味のバリエーションがあり、手軽で美味しい。とくに若者の間で人気があるというイメージがあるが、なぜ中国では人気がなくなってきているのだろうか。

中国最大の食品メーカーであり、即席麺(カップ麺を含む)市場で4割以上のシェアを誇る「康師傅(カンシーフー)」の2021年の売上高は約740億元(約1兆4000億円)で前年比9.5%伸びた。しかし、即席麺事業だけを見ると約284億元で前年比3.6%ほど減っている。二番手の「統一」も同様の傾向で、飲料は伸びているが、即席麺は苦戦している。

靴で踏みつける、ポイ捨て…ずさんな製造過程を暴露

中国メディアの報道などを見ると、即席麺は長年売り上げを伸ばしてきたが、2015年ごろを境目として初めて減少に転じたという。それは世界ラーメン協会(WINA)のデータでも確認できる。同協会のデータでは、2014年に過去最高の約444億食を記録したが、2015年から減少し、2016年には約385億食にまで減った。

その後、コロナ禍の非常食という思いがけない「追い風」を受けて再び伸びているが、2020年にロックダウンされた武漢や、現在ロックダウンされている上海などでも、スーパーでは最後まで売れ残った即席麺もあったといわれている。

中国のSNSでチェックしてみると、とくに売れ残っていたのは「老壇酸菜」という漬物味の即席麺だ。今年3月、中国の「財経チャンネル」というテレビ番組で、この「老壇酸菜」味の即席麺を製造する行程に著しい不正があることが暴露された。この漬物を作る際、農家の作業員が素足や靴のまま漬物を踏みつけたり、タバコをくわえて作業していた作業員が漬物の中にそれをポイ捨てしたりしていた場面が撮影された。

そのことが明るみに出たとたん、多くの人々から「気持ちが悪い。絶対に二度と食べない」「やはり、見ていないところでこういうことをする労働者が中国には多い」「他にも何が入っているか分からない。怖い」などという批判が続出。その結果、ロックダウンが目前に迫った買いだめのときでさえ、スーパーでは最後まで手に取る人が少なかった。

「カップ麺離れ」を生んだデリバリーの普及

上海でロックダウン中の若者数人に「(今回)即席麺を買ったか?」と聞いてみたところ、「仕方なく買ったが、当時はここまでロックダウンが長期化するとは思っていなかったので、それほどたくさんは買わなかった。以前から、即席麺は身体に悪いし、太りやすいし、栄養バランスも悪い、味気ない食べ物だと思って、買うのをできるだけ避けていたから」と話していた人が多かった。

なぜ即席麺の需要はそこまで落ちていったのか。そして、2015年ごろを境目として人気がなくなってきた背景にはどんな理由があるのか。取材していくと、大きく2つの理由があることが分かった。1つ目はデリバリーの急速な普及だ。中国で「飢了么」(ウーラマ)などのデリバリーが発達し始めたのはまさに即席麺の売り上げが落ちてきた2014~2015年ごろ。そして、それは同じ時期にスマホ決済が急速に増えたことと深く関係している。

中国のスマホが大型化し、4Gのサービスが開始され始めたのが2013~2014年。各地でWi-Fi環境が整い始め、通信速度も高速化した。同時にスマホで利用できるさまざまなアプリが誕生。中でも代表的なものが、アリペイ、ウィーチャットペイなどの決済サービスのアプリとデリバリーのアプリだった。

スマホで簡単に美味しい料理や食材が注文できるようになったことで、中国人の食生活は一変した。それまで、都市部の若者の残業飯として定番だった「仕事のデスクで夜遅くカップ麺をすする」というシチュエーションが激減したのだ。


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