新人の活躍に危険な要素も
先日、ハッとさせられたのは、勤務先である千葉商科大学での卒業生からの相談である。本学では、20代を中心とした卒業生向けにLINEで情報発信をしている。私はその中で、キャリアに関することを中心に相談コーナーを担当している。
最近対応した相談の一つに、「新人でも企画を通すには、どうすればいいでしょうか?」というものがあったのだ。元企画担当として、数々の斬新な企画を通し、実行してきた立場としてアドバイスをしたのだが、最後に“ちゃぶ台返し”的にこう問いかけた。「新人時代に、企画が通るのが、果たしていいことなのか?」と。そう、新人時代に企画が通るのは、実は危険な要素もあるのだ。
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新人の努力はまったく否定しないが、新人時代に通る企画というのは、上司や同僚の多大なるバックアップによるもの、単にラッキーだったもの、「新人が考えた企画」を社内外にアピールするために意識的に作られたものということもある。新人時代に企画が通ってしまうことにより、のちのち苦労することもある。
「若くして活躍」ということを採用時に刷り込まれているという場合もあり、焦るのだろう。この「若くして活躍」は年齢の壁をぶち破っているようにも見えるが、若者の酷使にもつながる。少しだけ冷静に考えると、新人でもバンバン企画が通るなら、会社も社会もよりよいものになっていないか。ただ、必ずしもそうではないところに、仕事の奥深さがある。
佐々木投手の活躍と、若い卒業生からの相談で、「若者の活躍」とマネジメントについて考えてしまった。若者を、過度に頑張らせてはいけない。新入社員、若手社員と向き合いつつ、対話を重ね、彼ら彼女たちがどうなりたいのかを受け止めつつ、対応しよう。新入社員よ、新入社員疲れ、若者疲れをしてはいけない。