夫婦で1000万円のほうが手取りは多くなる
次は、ひとりで年収1000万円を稼いだ場合と、夫婦で年収500万円ずつを稼いだ場合では、どちらのほうが手取り額は多くなるかを見ていきます。
▼730万円vs780万円
ひとりで年収1000万円を稼いだ場合の手取り額は約730万円。これに対して、夫婦で500万円ずつ稼いだ場合の手取り額は、合計で約780万円になります。妻(夫)は配偶者控除を使えなくなるものの、それでも夫婦で500万円ずつ稼いだほうが、手取り額で約50万円も多く受け取れる結果になりました。
児童手当についても、夫婦で500万円ずつ稼いだ場合はひと月1万円がもらえますし、高等学校修学支援金も基本支給額が受け取れます。今回は、配偶者控除と子どもの扶養控除しか適用していませんが、他にも所得控除が使える場合、夫婦で500万円ずつ稼ぐ家庭は、高等学校修学支援金が私学の上乗せ分を含めて39万6000円がもらえる可能性もあります。
老後の年金額にも影響がある
さらに、夫婦で働くことにより、妻(夫)名義の老齢厚生年金が増えるメリットもあります。
▼1000万円以上は厚生年金を増やしにくい
厚生年金の保険料は、標準報酬月額65万円(32等級)が、保険料の上限額(最高額)になります。年収が1000万円の人も2000万円の人も3000万円の人も、「65万円の月収だとみなして」厚生年金保険料を支払っているわけです。ちなみに標準報酬月額65万円の人の厚生年金保険料は、月額5万9475円になります。
これに対して年収500万円の人の厚生年金保険料は、年収を12か月で割った金額を標準報酬月額だと仮定すると、ひと月3万7515円、2人分で7万5030円になります。夫婦2人分の厚生年金保険料のほうが、ひとりで1000万円を稼ぐ人の厚生年金保険料よりも多くなる計算です。保険料は天引きなので、そのぶん手取り収入額は減りますが、老後に受け取れると考えましょう。
▼片働きなら配偶者の国民年金保険料は免除
一方で、年収1000万円のケースは、妻(夫)が国民年金において、年収が130万円未満の人などが該当する第3号被保険者になるため、国民年金保険料が免除されます。
妻(夫)の国民年金保険料なども考慮すると、単純に両者の損/得を比較するのは無理があるものの、老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の支給額は、夫婦で500万円ずつ稼ぐ家庭のほうが多くなる可能性もあります。