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日露サケ・マス漁業交渉妥結 漁業権益確保 日本の国益

ロシアの川で生まれたサケ・マスについて、日本の排他的経済水域(EEZ)内での日本漁船の操業条件を話し合う日露サケ・マス漁業交渉が事実上妥結した。日本がウクライナに侵攻するロシアへの経済制裁を強める中、今回の漁業権益の確保は日本の国益になるとの見方もある。

サケ・マス流し網漁の漁船=2016年4月、北海道根室市の歯舞漁港
サケ・マス流し網漁の漁船=2016年4月、北海道根室市の歯舞漁港

「わが国の権益の維持のための純然たる漁業交渉。(経済制裁への反発など)そうしたものはなかった」。23日未明に報道陣の取材に応じた水産庁の交渉責任者は、11日から断続的に続いた交渉を振り返った。また、協力費は「ロシアが行う資源管理への協力の一環なので、問題があるとは考えていない」と語った。

国連海洋法条約では、サケ・マスのように海を回遊して川に戻る魚種は生まれた川がある国に資源の権利がある「母川(ぼせん)国主義」を取る。このため、日本のEEZ内でのロシア系サケ・マスを対象とする漁では、漁獲量と資源管理の漁業協力費について、対露交渉が発生する。

今回、漁獲量は平成27年以来続く2050トンで決着。漁業協力費も近年の漁獲減に見合う額を求める日本側の強い姿勢で下げられた。交渉開始は例年より遅れ、4月10日の出漁日には間に合わなかったが盛漁期は5月から。出漁は5月上旬にはかなう見通しで、実利を取ったとも言える。漁業外交に詳しい北海学園大経済学部の濱田武士教授は「残る今年の漁業交渉や来年以降の交渉にも希望がつながった」と評価する。

サケ・マス漁業交渉で今後は、ロシアEEZ内での操業分の日程調整を開始。その後、根室半島から約4キロ先にある歯舞群島の貝殻島周辺12カイリ内でのコンブ漁の民間交渉も始まる。12月ごろには、北方四島周辺水域における日本漁船の操業条件交渉も控える。毎年行う漁業交渉では前年条件が交渉開始時のベースになるため、空白なく続けることも重要だ。

とはいえ、対露経済制裁の最中だ。資源管理のために対価を支払う状況に、国民の理解を得られるのか。

水産庁は「権益維持につながるための発信をしていきたい」と述べるにとどめた。濱田氏は「対露交渉で国境地域の漁業権益を確保することは、地域経済や人の暮らしの営みを守ることであり、国の主権を主張することでもある。(北海道をめぐる)漁業交渉を、そうした視点からも理解していくべき」と話している。(日野稚子)


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