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侵攻から2か月 100万人超が母国に帰還 戦禍に巻き込まれるリスクも

【ロンドン=板東和正】ロシアによるウクライナへの侵攻開始から24日で2カ月となる中、ウクライナから国外へ避難した人々が母国に戻る動きが目立っている。戦闘の長期化で、海外での避難生活に疲弊したり、母国に残した家族を案じて帰国を希望したりする避難民が増えたためだ。100万人超がウクライナに戻ったとの報告もある中、帰国者が戦渦に巻き込まれる恐れを懸念する声もある。

ロシアによる攻撃で破壊された建物の前を自転車を押して歩く高齢女性=22日、ウクライナ北部のボロディアンカ
ロシアによる攻撃で破壊された建物の前を自転車を押して歩く高齢女性=22日、ウクライナ北部のボロディアンカ

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計では、2月24日の侵攻以降、ウクライナから周辺国に避難した人々は4月22日までに約516万人に上り、隣国ポーランドには約半数の人々が流入している。一方、ウクライナ国境警備当局の推計によると、20日までに約110万人のウクライナ人が帰国した。

欧州大手放送局ユーロニュースなどの情報では、ウクライナとの国境から西約13キロに位置するポーランドのプシェミシルの駅では、ウクライナ西部リビウなどに向かう列車を待つウクライナ人が連日、列を作る。今月に入り、1日で数万人の避難民がウクライナに戻る日もあるという。

帰国したウクライナ人の多くは、安定した仕事を見つけづらい国外での避難生活に疲れ、母国の地を再び踏むことを願った人々だ。

16歳の息子とともにポーランドに避難したウクライナ人女性、ナタリアさん(46)は3月下旬、ウクライナ南部ザポロジエに戻った。ナタリアさんはユーロニュースに「多くのウクライナ人が、宿が見つからず、仕事も見つからず(ウクライナに)戻っている」と明かし、「少なくとも母国には家があり、自分の力で生きていける」と述べた。故郷に残した夫や母も気がかりだったという。

英紙ガーディアンなどによると、ポーランドの首都ワルシャワの受け入れ施設では避難民の受け入れが限界に近づいている。3万人以上の避難民が同国で仕事を見つけたが、清掃などの簡易な仕事が多く、言葉の問題で専門職などには就きづらいとの声もある。

また、ウクライナの一部の地域の情勢が安定したことを受け、帰国した市民も多い。首都キーウ(キエフ)周辺からの露軍撤退に伴い「国外に避難させた家族を呼び戻した人が増えた」(キーウの男性)。

その一方で戦闘が続く地域への帰国を目指す人もいる。ウクライナ人女性のオレナさんは娘と約1カ月前にポーランドに避難したが、今月ウクライナに再び入国した。英BBC放送によると、露軍が本格的な攻勢を始めたウクライナ東部ドンバス地域の自宅に戻る予定という。

オレナさんは、ポーランドの友人宅に身を寄せていたが「言葉も通じないため、仕事を見つけるのに苦労した」と話した。戻れば露軍に攻撃される恐れもあるが「何があっても、ウクライナに帰れることがうれしい」と語った。

ウクライナで軍予備役の領土防衛隊に所属する男性(48)は産経新聞の取材に「ウクライナ人には強い愛国心がある。露軍に命を奪われる恐怖よりも母国と運命をともにしたい思いが勝る人が多い」とした上で、「帰国した人が犠牲になる事態は避けなければならない」と話した。


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