塩野義製薬は24日、開発中の新型コロナウイルスの飲み薬について、臨床試験(治験)の詳細な解析データを公表した。せきやのどの痛みなどの呼吸器症状と発熱の5つの症状について改善を示したという。
/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/B7GFPFNGPVNP3DH64BGJ5HPMOE.jpg)
ポルトガルで開催中の国際学会で、四柳宏・東京大学教授と大曲貴夫・国際感染症センター長が塩野義の飲み薬の治験結果に関して発表した。12歳から70歳未満の患者428人(国内419例、韓国9例)を対象に、令和4年1月から2月にかけて実施した治験では、薬を服用するグループと偽薬のグループを比較。発症から5日以内に飲み薬の服用を開始した場合、3回服用後に感染力のあるウイルスが検出される患者は、偽薬のグループと比較して約90%減少した。
また、オミクロン株に特徴的なせきや喉の痛み、息切れ、発熱などの5症状を複合して調べた場合、服用したグループは偽薬のグループに比べて改善したことが、統計的有意差をもって確認できた。一方で吐き気や嘔吐(おうと)などの症状を加えた12症状を合計すると、偽薬グループとのはっきりした差が出なかった。安全性については重大な有害事象はなかったという。
塩野義の飲み薬は、細胞内に入ったウイルスの増殖を抑える働きがある。厚生労働省に製造販売の条件付き早期承認申請を行っており、現在、審査中となっている。厚労省は開発を後押しするため、塩野義製薬に対し、最大で約62億円の緊急追加支援をすると発表した。