タワーマンションを住まいに選ぶ富裕層が増えている。なぜなのか。元国税調査官の大村大次郎さんは「田舎の一軒家に住むよりも都心の高級マンションに住んだ方が、固定資産税の面では断然お得。さらに固定資産税の額は相続税とも連動する」という――。
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※本稿は、大村大次郎『世界を変えた「ヤバい税金」』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。
■ひげ、公衆トイレ…滑稽で喜劇のような古今東西の「税金」
税金は、学者や政治家などが綿密な分析のもとに、国家の将来を見据えて制度設計してつくっている。だから、きちんと払わなくてはいけない……そんなふうに思っている人は多いのではないでしょうか?
しかし、税金の実態を知っている元国税調査官から言わせてもらえば、税制は、国家の将来のために機能しているとは限りません。問題はたくさんあります。
人類の歴史を振り返ってみても、税金が国民のためにしっかり使われていた国は、非常に稀です。
国の指導者や上層部は、とにかく好き勝手に税金を使おうとします。その費用をねん出するのに、どの国の財務官も四苦八苦しているのです。
財源不足を補うために、古今東西の財務官たちは試行錯誤を繰り返し、さまざまな新しい税金を考案してきました。
古代ローマでは公衆トイレに課税し、18世紀のロシア帝国ではひげに課税し、戦時中の日本では芸者遊びに「300%」という超高率の税金を課したこともありました。その様子は、一歩離れた目で見ると非常に滑稽で、喜劇のようでもあります。
■タワマンの高層階は富裕層の節税アイテム
税金のかけ方次第で、国のあり方は大きく変わります
金持ちに高い税金を課し、貧しい人は免税にする。そうしたことができないと、貧富の差は広がるばかりです。また、何にどれだけ課税するかによって、産業の発展・衰退も決まります。「税制が国の行く末を左右する」と言っても過言ではありません。
実際に、税金によって、歴史が大きく変動したこともあります。
たとえば、イギリス植民地時代のアメリカは、税金のかからない元祖「タックスヘイブン」でした。そこに、イギリス本国が税金を導入しようとしたことも、アメリカ独立戦争の一因になっています(「資源も何もないから無税天国にするしかない…アメリカが『自由の国』となった理由は“税金”にあった」)。