「心理的安全性」のある場を作ろうとして勘違いする3つの落とし穴
このように、放っておくと働くチームのメンバーたちの心理的な抑圧をいかに解放するかが、上司の皆さんの役目であり腕の見せ所なわけですが、そうしますとそこで新たなアプローチの間違いに直面してしまうのです。
上司の皆さんが「心理的安全性」のある場を作ろうとして勘違いする、代表的な3つの落とし穴を挙げてみましょう。
1)場の空気を読みすぎる体質〜「気配りこそ命」という誤解
<心理的安全性には言い合える場が大事>ということで、上司の皆さんが気を遣いすぎると、メンバーの顔色を気にしすぎたり、メンバーの意見を忖度しすぎたり、メンバーと異なる自分の意見を言えなくなってしまったりします。
こうした状況を打破するには、意識を人間関係から、チームのテーマやミッション、ビジョンに向けること。上司から率先して、自分をさらけ出し、自然体で振る舞うことです。
2)決められない組織〜「全員一致すべき」という誤解
<一人ひとりの意見を大切に>しなければという意識が働きすぎると、特に優しすぎるリーダーや人間関係が希薄なチーム、あるいは生真面目すぎるチームでは、全員の意見を取り入れなければとか満場一致でないと決めてはいけないという誤解に走りがちです。
心理的安全性とは、決して全てを受け入れることでも全員一致を目指すものでもありません。お互いがしっかり自分の意見をぶつけ合い、対話し、その中からチームとしてのリスクテイクを前提とした<いずれかの意見>を採択し実行に動くことこそ心理的安全性が機能している組織です。ここで上司の皆さんのリーダーシップが問われます。
3)話し合い万能主義〜「話し合えば解決する」という誤解
対話や議論が大事であることは、上記まででも見たことです。しかし、<話し合えば全てが解決する。分かり合える>というものではありません。最後はリーダーが決議する。衆議独裁という言葉がありますが、上司はメンバーみんなの意見をしっかり聞き、その上でリーダーとしての役割・責務として結論を出す、決める。
これなくして、課題解決力の高いチームは機能しません。
チームにおいては<きつすぎる場>(=勝手に意見をぶつけ合うだけ。相手を批判し合うだけ)でも、<ぬるすぎる場>(=気を遣いすぎて、相手の意見を聞くだけ。自分の意見、本音を言えない)でも、心理的安全性は確保されないことを理解いただけたかと思います。