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給料は下がるのに、物価は上がる…これから経済大国・日本を待ち受ける“最悪の未来”

PRESIDENT Online

「約20年ぶりの円安水準」の深刻な背景

足元の外国為替市場で、急速な円安が進んでいる。4月20日の東京時間朝方には、1ドル=129円台までドル高・円安が進行した。約20年ぶりの円安水準だ。アジアや欧米、さらにはロシア・ルーブルなどの通貨と比較しても、円の弱さは際立っている。今回の円安の直接の原因は、欧米諸国との金利差の拡大だ。金利の高い通貨は、磁石で引きつけるように資金が集まるため、どうしても通貨が強くなる。一方、円のように金利の低い通貨は敬遠されるため、弱含みになりやすい。

ただ、金利差拡大の背景に、日本経済の凋落が深刻化していることを忘れてはならない。1990年代初頭の“資産バブル”崩壊後、わが国は資産価格の急速な下落や不良債権問題の深刻化などに直面した。経済と社会全体で過度にリスクを恐れる心理が高まった。企業や個人が新しい取り組みを能動的に進めることが難しいと感じる雰囲気がわが国全体に充満したといっても良い。その状況下、政府は労働市場の改革などを進めて潜在成長率を引き上げるよりも、基本的にはゼロ金利政策など金融緩和によって景気を支えようとした。

その結果として、わが国では成長期待の高い新しい産業が育たず、産業構造の転換が遅れた。近年では電気自動車(EV)シフトなどによって経済の大黒柱である自動車産業の競争力低下懸念も高まっている。エネルギー政策の転換も遅れている。当面、米ドルなどに対して円安は進むだろう。それによって輸入物価は上昇する。国内の消費は一段と減少する可能性が高い。企業のコストも増加し、経済成長率の低下懸念が高まる。やや長めの目線で考えるとわが国経済の実力はさらに低下するだろう。

自動車、半導体、家電、金融…あらゆる分野で負けるように

円安が加速している最大の要因は、わが国経済の実力低下にある。1980年代のわが国は一時“ジャパン・アズ・ナンバーワン”と称されるほど経済の実力が高まった。自動車、半導体、家電、さらには金融など多くの分野で本邦企業の競争力が急速に向上した。その結果、1987年にわが国の一人当たりGDP(国内総生産)は米国を抜いた。

しかし、1990年の年初に株式のバブルが崩壊し、翌91年半ば以降は不動産の価格が下落して“資産バブル”が崩壊した。それを境に、わが国経済の実力は低下傾向に転じた。バブルの崩壊によって資産価格は急速に下落し、不良債権問題が深刻化した。不良債権処理の遅れから1997年には金融システム不安が起き、わが国経済は長期の停滞に陥った。

バブル崩壊と時をほぼ同じくして、わが国を取り巻く世界経済の環境も激変した。グローバル化の加速だ。わが国はグローバル化に取り残された。1990年代の米国ではIT革命が起き、情報通信分野の競争が激化した。企業のビジネスモデルは変化し、ハード(モノの生産)からソフトウエアの設計・開発に集中する企業が増えた。また、中国、韓国、台湾など新興国が経済成長を遂げ、製造技術面でのキャッチアップが進んだ。

世界で広がる分業化にも対応できず…

2000年代に入ると、アップルは米国では新しい機器の設計・開発に集中し、その上で世界各国から優秀な部品を集めて台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の中国企業であるフォックスコンにユニット組み立て型の生産を委託する体制を確立した。国際分業の加速は米国のIT先端企業の事業運営の効率性向上に決定的な影響を与えた。

また、中国は安価かつ豊富な労働力を武器にして世界の工場としての地位を確立した。一時は中国がデフレを輸出していると言われる状況も出現した。台湾では、米国のアップルやエヌビディアなどが設計・開発したチップの生産を台湾積体電路製造(TSMC)が受託し、世界最大のファウンドリーの地位を揺るぎないものにしている。その一方で、1980年代半ばに世界トップシェアを誇ったわが国の半導体産業は環境の変化に対応できず、競争力を失った。


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