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極右阻止へ冷や汗 マクロン氏不安要因は国民の不満

【パリ=三井美奈】フランス大統領選で極右「国民連合」のルペン候補が決選投票で4割を得票し、政権交代の現実的な選択肢として浮上した。支持率で猛追されたマクロン大統領は最終盤、懸命のドブ板選挙で勝利をつかんだ。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、民主主義陣営にとって冷や汗の選挙だった。

24日、フランス大統領選での敗北後、集会で話すルペン氏=パリ(ロイター=共同)
24日、フランス大統領選での敗北後、集会で話すルペン氏=パリ(ロイター=共同)

マクロン氏の支持者は24日夜、パリのエッフェル塔前広場に集まった。勝利の見込みが大スクリーンで報じられると、歓喜よりも「極右政権を阻止した」ことへの安堵(あんど)が広がった。

会社員のルメイス・トレピエさん(32)は「前回マクロン氏に投票した。雇用を守らないので期待外れだった。それでも、ルペン政権を発足させるわけにはいかない」と話した。ブノワ・カンパノさん(27)は「第1回投票で左派候補に入れ、決選投票は白票を投じるつもりだった。故郷の友人たちがルペン氏に入れるというので、『極右政権が発足するかも』と怖くなり、マクロン氏に投票した」と明かした。

「マクロン嫌い」噴出

マクロン陣営を慌てさせたのは、選挙戦で噴出した有権者の強烈な大統領批判だった。マクロン氏は遊説中に「あんたのように、ひどい大統領はいなかった」と有権者に直言された。決選投票でのルペン氏との対決を「コレラかペストかの選択」と評されて、大苦戦した。支持率ではルペン氏に一時、5ポイント差まで詰め寄られた。

フランスは大統領に権力が一極集中する。日常のちょっとした不満も「大統領のせい」にされてしまう。何でも理詰めで説得したがるマクロン氏の政治姿勢も「傲慢」と嫌われた。

経済学者のエリ・コーエン氏は「国の競争力強化を目指し、社会保障改革を進めているさなか、新型コロナウイルス禍に襲われた。これが響いた」と指摘する。

フランスの貧困率はスウェーデンやドイツを下回る。しかも、マクロン政権の5年間で10%超だった失業率は7%台に改善したが、コロナ禍で脆弱(ぜいじゃく)な病院体制が露呈し、所得格差も広がった。最近の物価高騰は庶民の家計に追い打ちをかけた。ルペン氏は、現状への不満を吸収し、支持を広げた。

抗議デモ頻発も

極右の勢いに、マクロン陣営だけでなく、左右両派にも警戒が広がり、選挙はマクロン勝利で決着した。だが、ルペン氏が17年の前回大統領選より得票率を上積みしたことは、将来に不安を残した。マクロン政権2期目では、国民生活への支援に軸足を置かざるを得なくなった。

仏誌マリアンヌの政治コラムニスト、ギイ・シボン氏は「極右伸長は、今の政治を『丸ごとひっくり返したい』という国民の不満の表れ。不安要因として残る」と指摘。2018年、燃料増税への抗議を機に始まった「黄色いベスト」のような全国デモが今後、頻発すると予測した。大統領は2期まで。5年後は、マクロン氏の後継者を選ぶ選挙となる。

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