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IR整備 問われるポストコロナの観光戦略

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す大阪府は26日、IR実施法に基づき、事業内容をまとめた区域整備計画の認定を国に申請した。同様に準備してきた長崎県も同日、申請書類を送付した。国は有識者委員会による審査を経て、今秋以降に認定の可否を決めるとみられる。

政府は令和2年12月に決定したIR整備に関する基本方針で、観光を「わが国の成長戦略と地方創生の柱」とし、国際競争力の高い滞在型観光の実現が日本型IRの意義だと定めた。しかし新型コロナウイルス禍で訪日外国人客(インバウンド)は激減し、需要回復は見通せない。ポストコロナの観光戦略でIRをどう位置付けるかが問われる。

安倍晋三政権でインバウンド増加の起爆剤と期待されたIR事業。当初は大阪や長崎だけでなく、東京や北海道など5~6カ所の自治体が候補地に挙がり、「最大3カ所」の認定をかけた誘致レースの混戦も見込まれた。

しかし令和元年末に現職衆院議員が逮捕されたIR汚職事件やコロナの感染拡大により、政府と自治体の手続きが停滞した。IRの推進役だった菅義偉(すがよしひで)前首相のおひざ元の横浜市は昨夏の市長選後に誘致を撤回。和歌山県議会も今月に区域整備計画案を否決し、今や「定員割れ」の状況だ。

インバウンドはコロナ禍前の元年に3188万人を超え、政府のIR整備の基本方針では12年に6千万人到達を目標としたが、昨年は平成15年以降最少の約24万5800人と程遠い。

政府は昨年6月に決定した成長戦略の方針で「国内外の感染状況などを見極め、インバウンドの段階的復活に向けた取り組みを推進する」とした。ただそこにIRの文字はなく、岸田文雄政権でも政策上の優先順位が高いとはいえない。

誘致を目指す大阪市の松井一郎市長は現政権の姿勢を記者に問われた際、IRは法律に基づく事業だとして「熱意があるとかないとかいうのは、センスがない質問だ」といらだちを隠さなかった。トーンダウンする現政権にくぎを刺した格好で、国による観光戦略の再構築が求められそうだ。(矢田幸己)


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