自転車利用者の45%が「主に歩道を通行」  生活道路では4人に1人が“逆走”予備軍に

    歩道のある道路を自転車で走行する場合、約45%の人が主に歩道を選んでいることが、自転車産業振興協会(東京)がまとめた「自転車の交通ルールに関する意識調査」で分かった。道路交通法で「軽車両」と位置づけられる自転車は、歩道と車道の区別がある場合は原則、車道を通行することになっているが、「車道は車がすぐそばを通り危険に感じる」などの理由で車道走行に抵抗を感じている実態が浮かび上がった。車道の左側通行についても、信号がない裏道などの生活道路では4人に1人が逆走予備軍となる可能性があることも判明した。

    自転車は「軽車両」という自覚を(Getty Images)※画像はイメージです
    自転車は「軽車両」という自覚を(Getty Images)※画像はイメージです


    ルールと走行環境の安全性にズレ

    調査は昨年12月、全国の15~80歳の2万1212人(自転車利用者1万5607人、歩行者5605人)を対象に行った。それによると、自転車で歩道がある道路を通行する場合に車道と歩道のどちらを選択するかとの問いに、「歩道が7割以上」と回答した人は全体の45.4%に上った。男女別では男性39.4%、女性51.8%と、女性の割合が高かった。また、男女とも年代が高いほど「歩道」を選択する割合が高まる傾向を示した。

    自転車の歩道通行をめぐっては、道交法で(1)歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識等がある場合(2)13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が自転車を運転している場合(3)道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行するのが困難な場合─にのみ例外として、歩道の走行が許されている。

    歩道を走る自転車利用者は少なくないが、その理由(複数回答)として「車道だと車がすぐそばを通り危険に感じるから」が48.0%、「車道の幅が十分でないから」が42.3%、「車道に自転車レーンがないから」35.7%と、自転車通行のルールが、自転車利用者が求める安全性とつりあっていない状況がうかがえる。

    一方、車道を通行すると答えた自転車利用者に理由を尋ねたところ、「歩道の幅が十分でないから」が55.5%と最も多く、次いで「歩道は歩行者がいて走りづらいから」が44.5%という結果に。「自転車は車両なので車道を走るべきだから」は35.6%と、必ずしも走行ルールが浸透しているとはいえない結果となった。

    自転車が歩道を通行する場合、車道寄りの部分を徐行するよう定められているが、調査結果からは「車道寄り」を走行していると答えた人が44.6%と半数以下にとどまり、「特に気にしていない」も26.3%と、ルールが浸透していない状況も浮き彫りとなった。

    逆走予備軍は2割超

    車道を自転車で通行する際に「左側通行する」と答えた自転車利用者は、複数回答で「生活道路(信号のない裏道など)」で74.6%、「幹線道路(信号があり、車通りが多い道)」で78.0%と、特に生活道路を走る自転車利用者の意識の低さが際立つ形となった。

    自転車などの軽車両が路側帯を右側通行した場合、逆走による衝突事故を引き起こす危険性があるほか、道交法で3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられるが、「特に気にしていない」「右側通行が多い」など、逆走する可能性のある人は幹線道路で22.0%、生活道路で25.4%に上った。

    自転車を安全に利用するための必要な対策について複数回答で尋ねたところ、最も要望が多かったのは「自転車が安全に走れる走行レーン・走行帯などの整備を促進させる」で52.9%、次いで「自転車利用に関する取り締まりや罰則を強化する」の39.8%、「自転車に関する交通安全教育を行う講習会などを積極的に開催する」39.1%という結果だった。


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