• 日経平均26748.14-253.38
  • ドル円127.44127.49

西部ガスは減益 九電は業績予想公表できず

国際的な資源需給の逼迫(ひっぱく)やエネルギー価格の上昇など、不安定な事業環境が電力・ガス業界を直撃している。28日までに九州電力、西部ガスホールディングス(HD)が発表した令和4年3月期連結決算は、いずれも最終利益が減益となり、九電は調達面を取り巻く情勢が「極めて不透明」として5年3月期の業績予想を見送った。円相場は一時、1ドル=130円の大台を突破するなど円安傾向も止まらない。業績の不安定化は電力、ガス供給の持続可能性を脅かしかねない。

記者会見する西部ガスの道永幸典社長
記者会見する西部ガスの道永幸典社長

「電力会社は石炭、油、原発がある。うちはガスだけだ」

27日、福岡市内で記者会見した西部ガスの道永幸典社長は、足下の天然ガス市況の高騰に対する危機感を問われ、こう応じた。

道永氏の指摘通り、電力はさまざまな電源を組み合わせることでリスクヘッジは可能だ。しかしガス会社の主力商品、都市ガスの主原料は現在、天然ガスに限られる。価格高騰や供給面でのトラブルは業績、特に利益面を直撃する。

初の部門赤字

西部ガスHDの4年3月期の連結売上高は前年同期比232億円増の2152億円で、5年3月期の業績予想も2400億円と2期連続の増収を見込む。

一方、4年3月期にはガス部門単体で、西部ガス発足以来初の営業損失(53億円)を計上した。液化天然ガス(LNG)の主力調達先であるマレーシアで発生した生産設備の不具合により、代替分を高騰する市場から購入した。これが64億円のコスト増となったことが響いた。

不具合は一過性で、現在は安定稼働に復帰した。ただ、4年3月期のLNG調達量のうち約8・6%を占めていたロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」が新たな不安要素として浮上。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う経済制裁は、エネルギー分野も例外ではなく、同調圧力は高まる。また、ロシアが27日、ブルガリアとポーランドへの天然ガス供給を停止したように、対抗措置のリスクもある。

既に既存の調達先からの受け入れ増など「手を打っている」(道永氏)として、5年3月期は、最終利益を前期比55億円増の60億円と見込む。

ただ、世界の不確実性は高まっており、道永氏は「調達の多様化はそう簡単にできないが、『すわ一大事』というときに、(エネルギー各社や商社らで)リスクを低減するようなネットワークづくりをしっかりやっていくことに尽きる」と強調する。

電力にも直撃

電力業界も厳しい。

東京商工リサーチは26日、電力小売事業を手掛ける新電力の最新期の決算を集計し、56・3%が赤字だったと発表した。前年調査(24・1%)から大幅に赤字会社の割合が高まった。大規模な発電能力を保有せず、外部調達に依存するビジネスモデルに、日本卸電力取引所(JEPX)での取引価格が高止まりが直撃した形だ。

多様な電源を保有する九電など大手電力も苦しい。資源価格の動向を電気料金単価に反映する「燃料費調整制度」(燃調)で、一定程度の原油や天然ガス市況の上昇はカバー可能だ。しかし、同制度では価格転嫁が可能なのは各社ごとに算出した基準燃料価格の1・5倍以内と上限が設定されている。

それを超えれば電気を売れば売るほど、利益が削られていく。九電では間もなく上限ラインに達する水準だ。

為替動向も

業績への不安要素はほかにもある。円安だ。

九電の燃料調達時の為替レートは、3年3月期には1ドル=106円、4年3月期は同112円だった。ところが、足下では日米の金融政策の違いなどを意識した円安が進み、28日には一時、20年ぶりに同130円をつけた。この水準が定着すれば単純計算で調達コストは年間1~2割程度上振れする。「かなり大きな影響がある。為替は安定してもらいたい」(池辺和弘社長)のは大手電力関係者に共通の思いだが、資源価格同様に市場の未来は誰も見通せない。

新たな難敵

脱炭素社会への対応や、大量導入される再生可能エネルギーと既存電源の両立など大きな課題に立ち向かっていた中で、資源価格と円安という新たな難敵が浮上している。

電気やガスの安定供給と低廉な価格の維持は産業競争力の基礎で、決してゆるがせにはできない。しかし足下の事業環境は悪化する一方だ。28日の会見で池辺氏がこぼした言葉は厳しさを象徴している。

「あまりに経営が行きづまれば、安定供給が心配になってくる」

九電が28日発表した4年3月期連結決算は売上高は前期比14・5%増の1兆7433億円、最終利益が同78・4%減の68億円だった。(中村雅和)


Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)